ニュースや報道でよく目にする「書類送検」や「書類送付」という言葉ですが、これらの違いについてはあまり詳しく説明されることがありません。しかし、マスコミがこれらの言葉を使い分ける理由には明確な意図と背景があります。今回は、それらの言葉の意味や使い分けの理由について解説します。
書類送検とは?
「書類送検」という言葉は、主に刑事事件に関連して使われます。これは、警察や検察が犯罪の証拠を基に、起訴するかどうかを判断するために事件の詳細を裁判所に送ることを指します。書類送検には、被疑者が逮捕されていない場合や、事件の詳細がまだ整理されていない段階で行われることが多いです。
例えば、ある企業の役員が業務上横領の疑いをかけられたとします。その場合、警察は証拠を集め、起訴するかどうかを判断するために「書類送検」を行います。このプロセスを経て、起訴されるか不起訴となるかが決まるのです。
書類送付とは?
一方で「書類送付」は、法的手続きにおける文書を郵送や手渡しで相手に送ることを指します。これは、書類の内容に関連して意見を求めたり、証拠としての提出を依頼する場合に使用されます。犯罪や法律的な問題に関連する場合、書類送付はあくまで情報を伝達するための手段です。
例えば、税務署が個人に対して税務調査の結果を伝えるために書類送付を行う場合などが該当します。この場合、特に刑事事件としての意味合いはなく、法的に必要な情報伝達の手段として行われます。
マスコミによる使い分けの理由
マスコミが「書類送検」と「書類送付」を使い分ける主な理由は、報道する事件の内容やその深刻さを伝えるためです。一般的に、「書類送検」という言葉には、犯罪が関与しており、捜査が進行中であるというニュアンスが含まれます。このため、ニュースや報道で使われると、視聴者や読者に対して事件の重大性や注目すべき点を強調する効果があります。
一方で「書類送付」は、必ずしも重大な犯罪を指すわけではなく、手続き的な意味合いが強いです。したがって、報道する際にこれらの言葉を使い分けることで、視聴者に異なる印象を与えることができます。例えば、「書類送検」は犯罪捜査が進行していることを示し、「書類送付」は単なる手続き的な行為を示唆するため、事件の深刻さを正確に伝えるためには、この使い分けが重要になります。
具体的な報道例
ある有名な企業の不正経理が疑われた場合、報道では「書類送検」という言葉が使われることがあります。これは、事件の捜査が進行中であり、犯行が疑われる人物に対して警察が証拠を提出している状況を反映しています。このように、事件の重大性が強調され、視聴者に対して緊迫感や重要性を伝えやすくなります。
一方、一般的な行政手続きや個人に対する通知の場合、ニュースで「書類送付」が使われます。例えば、税務署からの税務調査通知書の送付などが該当します。この場合、ニュースとして取り上げる場合でも、事件性や捜査のニュアンスが薄いため、視聴者に与える印象は比較的穏やかです。
まとめ
「書類送検」と「書類送付」は似ているようで、実は意味や使われる場面に大きな違いがあります。前者は主に刑事事件に関連し、捜査が進行中であることを伝えるために使われます。一方、後者は法的な手続きを伝えるために使われ、事件性が薄い場合が多いです。マスコミはこれらの言葉を使い分けることで、事件の深刻さやニュアンスを適切に伝えているのです。
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