フュージョンエネルギー(核融合)は、クリーンでほぼ無尽蔵なエネルギー源として期待されています。実現すれば、日本のエネルギー自給率向上と産業の競争力強化に大きく貢献するとされています。では、フュージョンエネルギーは本当に有望なのでしょうか?本記事では、その可能性と日本の取り組みについて詳しく解説します。
フュージョンエネルギーとは?
フュージョンエネルギーとは、軽い原子核を高温・高圧で融合させて重い原子核に変わる際に放出されるエネルギーのことです。太陽の内部で起きている反応と同じ原理で、地球上で再現しようとするものです。核融合は、核分裂と異なり、放射性廃棄物が少なく、事故のリスクも低いとされています。
日本のフュージョンエネルギー戦略
日本政府は、フュージョンエネルギーを次世代のクリーンエネルギーとして位置づけ、2023年4月に「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略」を策定しました。この戦略では、2030年代の発電実証を目指し、産業界との連携を強化しています。2024年3月には、フュージョンエネルギー産業協議会(J-Fusion)が設立され、三菱重工業やIHI、NTTなどが参画しています。
技術的な課題と進展
フュージョンエネルギーの実用化には、プラズマの安定制御や高温超電導磁石の開発など、技術的な課題があります。しかし、AI技術の進展により、プラズマ閉じ込め磁場の予測精度が向上し、実用化に向けた道筋が見えてきています。例えば、量子科学技術研究開発機構(QST)とNTTの共同研究では、世界初となる高精度なAI手法を核融合装置のプラズマ閉じ込め磁場予測に適用することに成功しました。
産業競争力と経済効果
フュージョンエネルギーの実用化は、新たな産業の創出や経済波及効果が期待されています。核融合関連の世界市場規模は、2030年に約60兆円、2040年には約118兆円に達するとされています。日本が核融合技術に関する国際的な規格策定を主導できれば、国内企業がグローバル市場で有利に事業を展開しやすくなります。
まとめ:フュージョンエネルギーの未来
フュージョンエネルギーは、クリーンで持続可能なエネルギー源としての可能性を秘めています。日本政府の戦略や産業界の取り組み、技術的な進展により、実用化への道が開かれつつあります。今後も、フュージョンエネルギーの動向に注目し、エネルギー問題や地球環境問題について考える良い機会となるでしょう。
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