日本では凶悪犯罪に対する死刑判決が下されても、執行されないケースが多々あります。本記事では、その背景にある法制度や社会的要因について詳しく解説します。
死刑判決と再審請求の関係
死刑判決を受けた被告人は、再審を請求する権利があります。再審請求中の死刑囚には執行しないという「暗黙のルール」が存在し、これが執行の遅延につながる要因となっています。
例えば、袴田巌さんは1966年の一家4人殺害事件で死刑判決を受けましたが、再審請求が認められ、2014年に無罪が確定しました。再審請求中は死刑執行が行われなかった典型例です。
共犯者の裁判終了まで執行を待つケース
複数の犯人による事件では、共犯者の裁判が終わるまで死刑執行が行われないことがあります。これは、死刑囚の証言が共犯者の判決に影響を与える可能性があるためです。
オウム真理教事件では、松本智津夫(麻原彰晃)死刑囚ら13人の死刑判決が確定しましたが、共犯者の裁判が続いていたため、執行は行われていませんでした。
法務大臣の信条や考え方の影響
法務大臣の個人的な信条や考え方も死刑執行に影響を与えることがあります。例えば、2005~2006年に法務大臣だった弁護士出身の杉浦正健氏は、就任会見で「私は(執行命令書に)サインしない。心の問題。宗教観、哲学の問題」と発言し、在任中10カ月間、死刑執行を行いませんでした。
また、2010年7月には、死刑廃止論者だった千葉景子法相が自ら立ち会い、死刑囚2人に刑が執行されましたが、その後、死刑制度の是非についての議論が再燃しました。
まとめ
日本で死刑判決が下されても執行が行われない背景には、再審請求の権利、共犯者の裁判終了の待機、法務大臣の信条など、複数の要因が絡んでいます。これらの要因を理解することで、死刑制度に対するより深い理解が得られるでしょう。
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