フィリピンがアメリカ軍に駐留してもらっていた時期から、アメリカ軍が撤退した後、どのように中国に海を奪われたのか、そしてフィリピン軍がその対応をしなかった理由について、またその背景にある軍事的な要因について解説します。
アメリカ軍の撤退とフィリピンの防衛体制
1992年、アメリカ軍はフィリピンに駐留していた基地を閉鎖し、フィリピンから完全に撤退しました。この撤退は、フィリピン国内での反米感情や基地協定に関する合意の不成立が原因でした。アメリカ軍の撤退後、フィリピンは自国の防衛を担当する責任を強く求められることとなりますが、その後のフィリピン軍の防衛体制は、軍事力の不足や予算の限界、装備の老朽化などから十分に整備されませんでした。
中国はその後、南シナ海で積極的に領有権を主張し、海上基地の建設や軍事的な活動を拡大しました。フィリピンはこの中国の拡張に対して軍事的に反撃する能力を持つわけではなく、国際的な協力を通じて平和的な解決を目指す道を選ぶことになります。
中国の南シナ海での領有権主張とフィリピンの対応
中国は南シナ海での領有権を主張し、軍事施設の建設や人工島の開発を進めるなど、拡張主義的な政策を強化しました。フィリピンは、国際法に基づいて南シナ海の領有権を巡る争いで中国に立ち向かいましたが、軍事的に中国と直接対峙することは避けました。
フィリピンは、国際的な外交を駆使して、2016年に国際海洋法裁判所で中国に有利でない判決を勝ち取ります。しかし、実際にはその後も中国はフィリピン領海における活動を続け、フィリピン政府は中国との対話と協力を重視する方向に舵を切ることとなりました。
フィリピン軍と中国軍の軍事的な差
フィリピン軍と中国軍の軍事力は大きな差があります。中国は世界第2位の軍事予算を誇り、航空機や艦船などの装備も最新鋭のものが多く、フィリピンの軍事力とは比較にならない規模を誇っています。
フィリピン軍は、相対的に少数の兵力と老朽化した装備で運用されています。これにより、フィリピン軍が中国の軍事力に対して直接的な対抗を試みることは非常に難しいのが現実です。フィリピンは、その限られた軍事力を外交的な手段と結びつけ、国際的な支援を求める形で対応してきました。
フィリピン軍が返り討ちにしなかった理由と今後の展望
フィリピンが中国に対して軍事的に反撃しなかった理由の一つは、軍事的に中国に対抗する力が不足していたことです。また、戦争を避けるために、フィリピン政府は多国間の外交交渉や国際法に基づく解決策を追求しました。
今後の展望としては、フィリピンは引き続き国際的な協力を強化し、中国との対話を維持しながら、軍事力の近代化を進める必要があります。また、アメリカとの防衛協力を再開する可能性もあり、地域の安定と平和を守るために、外交的および軍事的な手段のバランスを取ることが求められます。
まとめ
フィリピンは、アメリカ軍の撤退後に軍事的な課題に直面し、特に中国の海洋進出に対して十分な軍事的対応ができない状況にあります。しかし、フィリピンは国際法を駆使して中国との領有権争いに立ち向かい、今後も外交的な努力を続けるとともに、軍事力の強化も進めていくことが予想されます。
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