10月25日未明に発生した根室半島南東沖地震以来、「次の揺れが来るかも」と常に緊張してしまったり、「布団にくるまって揺れが終わるのを待った」「幽霊みたいな気配が近くにいる気がした」といった体験をされている方へ。この記事では、地震体験後に起こりうる心理的反応と「時間だけで解消できるか」「軽いPTSD(心的外傷後ストレス障害)の可能性があるか」を整理します。
地震後に起こる“怖さ”“緊張”“睡眠障害”は珍しくない
自然災害を体験した人々のうち、揺れや余震をきっかけに不安・眠れない・過度の警戒感などを訴える例があります。例えば「災害後に不眠・強い警戒状態・気が張った感じ」が多く報告されています。([参照] Interface between mental health and the earthquake)
また、大規模な地震被害を受けた地域では、心理的な影響として心的外傷後ストレス障害(PTSD)や不安障害の発生率も報告されています。([参照] Impact of Natural Disasters on Mental Health)
時間が“自然に癒す”場合とケアが必要な場合の見分け方
多くの場合、数週間〜数か月で“日常に戻る”方も多く、時間とともに揺れへの感覚が薄れていくことがあります。ですが、以下のようなサインが出ているなら、時間だけでは改善しづらいケースと考えられます。
- 揺れが無くても常に警戒してしまう、体がカチコチに緊張している。
- 寝付けない・浅い眠りが続く・夜中に布団にくるまって揺れていないのに震えている。
- 地震とは分かってるけど「目を開けたら幽霊がいるかも」と感じたり、現実と“あやうい感覚”が交じる。
- 発生から数か月が経っても、日常生活に支障を感じる(仕事・家事・人との交流などに影響)。
このような場合、軽度~中度のPTSD・トラウマ反応の可能性があり、専門的なケアや相談を検討した方が良いでしょう。
軽いPTSDの可能性とその特徴
地震経験者を対象とした研究では、PTSD症状の発生率が10〜30%ほどという報告があります。([参参照] Prevalence of post‑earthquake PTSD)
PTSDの代表的な症状には、以下のようなものがあります:
・繰り返し揺れを思い出してしまう(フラッシュバック)
・普段なら平気な揺れにも極度に反応してしまう
・眠れない・集中できない・人との関わりが減る
・未来に希望が持てず、身体症状(動悸・震え・過度の警戒)を感じる。
あなたが体験されている「布団にくるまって揺れが終わるのを待った」「幽霊みたいに誰か近くにいる感じ」などは、トラウマ的な緊張反応の一つとして捉えられます。
ケア・回復のための実践的なステップ
地震体験後の心理的負担を和らげるために、以下のステップが役立ちます。
- 安全確認を習慣化:まず「自分の身は安全である」と確認できる防災グッズ・避難ルート・備蓄などを整えておくことで、揺れへの不安が少しずつ軽くなります。
- 睡眠・休息を大切に:浅い眠りや夜中の緊張感が増すと、PTSD反応が強くなる傾向があります。睡眠環境を整え、リラックス法(深呼吸・ストレッチ)を取り入れましょう。([参参参] Earthquake Exposure and PTSD Symptoms)
- 専門機関・相談窓口を活用:「いつまでも不安が消えない」「仕事・日常に支障が出てきた」と感じたら、心理カウンセリング・精神科受診を検討しましょう。被災後ケアとしても推奨されています。([参参参] Earthquake Trauma Psychology)
- 「時間だけで治るか」を意識せず、主体的な回復を:“時間が経てば治る”という期待だけで過ごすと、症状が慢性化することがあります。早めに小さな変化(「緊張が少し軽くなった」など)に気づいて、自分のケアを始めることが重要です。
まとめ
根室半島南東沖地震という揺れをきっかけに「いつまた来るかも」という常時の警戒感・睡眠の問題・“幽霊が近くにいるような”感覚が出ている場合、それは「単なる時間の癒し」ではなくトラウマ反応の可能性があります。とはいえ、必ずしも重度のPTSDとは限らず、適切なケア・準備・休息で回復の道は十分にあります。
大切なのは、「自分は安全だ」「揺れが終わった」ことを自分に言い聞かせ、防災・睡眠・相談を少しずつ整えていくこと。もし不安が長引くようなら、一人で抱えず、専門の支援を活用してください。


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