ガソリン税廃止のウワサとガソリンスタンドの収益 ― 実際どうなる?

石油、天然ガス

「ガソリン税が廃止された!」という話が出回ると、真っ先に気になるのが「それってガソリンスタンドがさらに儲かるんじゃないの?」という疑問です。この記事では、税制の現状、ガソリン価格・流通構造、スタンド経営への影響といった視点から、“ガソリン税廃止=スタンド大儲け”という単純な図式が成り立たない理由を整理します。

ガソリン税の現状と廃止予定の動き

日本ではガソリン1リットルあたりに課される税金として、法定の「ガソリン税」および暫定的な「暫定税率」が合わせて課税されています。例えば、2025年時点では暫定税率では1リットルあたり約25.1円が上乗せされているという指摘があります。([参照](https://www.japantimes.co.jp/news/2025/07/30/japan/parties-agree-on-scrapping-add-on-gasoline-tax/))

さらに、与野党がこの暫定税率を「年内に廃止する方向で合意した」との報道も出ています。([参照](https://www.reuters.com/business/energy/japans-ruling-coalition-opposition-agree-scrap-extra-gasoline-tax-2025-07-30/))

税がなくなったらガソリン価格はどう動く?スタンドの利益はどうなる?

税金が下がれば理論的には「価格が下がる → 消費量が増える →販売量増でスタンドが潤う」と考えるのは自然ですが、実際は競争・原油コスト・流通マージンなど多くの要素が絡みます。

例えば、ガソリン価格から税分を引いたぶんだけがスタンドの“取り分”に直結するわけではなく、仕入れ価格・運送コスト・人件費・決済手数料・カード割引など諸経費も変わりません。税の減少がそのまま利益改善につながるとは限らないのです。

ガソリンスタンド経営の収益構造を知る

ガソリンスタンドの収益は主に「燃料販売によるマージン」「付帯サービス(洗車・点検・コンビニ併設など)」の2本柱で構成されることが多いです。

燃料販売マージンだけでの勝負は、価格競争激化・ネット価格表示の透明化の影響で薄利になっているケースが多数報告されています。そのため、税が少し下がっても、スタンド側で価格をどれだけ下げるか・下げずに維持できるかは、競争環境と地域事情に左右されます。

税廃止による“メリット・デメリット”とスタンド側の対応

  • メリット:消費者の価格負担軽減 →販売数量の回復につながる可能性。
  • デメリット:政府の補填が必要な場合、流通や仕入れ価格にも影響が及び、税廃止が即収益改善とはならない。

スタンド側の対応としては、税変動を機に「サービス拡充・非燃料収益強化」「価格戦略の見直し」「地域特性にあったプロモーション展開」が考えられます。

まとめ

「ガソリン税が廃止されたら、ガソリンスタンドがさらに儲かるのか?」という問いに対しては、単純に“はい、儲かる”とは言いきれないのが実情です。税金が下がることは消費者にとっては負担軽減となりますが、スタンド経営の収益改善には燃料マージン以外のコスト・競争環境・付帯事業の収益など複数の変数が関わります。

これから税制が変わる可能性が高い中で、スタンド経営者・消費者それぞれが「税の変化が何にどう影響するか」を多面的に理解しておくことが重要です。

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