最近、立花孝志氏に関して「SNSでの投稿を拡散した人や“いいね”を押した人もこれから逮捕されるのか?」という関心が高まっています。本記事では、SNS投稿に対する法的責任の枠組みを整理し、どこまでが逮捕・起訴・処罰の対象となり得るのかを解説します。
SNS投稿による犯罪成立の可能性:基本知識
まず「投稿者本人」がSNSで虚偽の事実を発信し、名誉毀損や侮辱罪、捏造情報の流布などがあれば、刑法上の責任を問われる可能性があります。例えば、竹内英明元県議の死亡を巡って立花氏が「事情聴取を受けていた」などと投稿し、兵庫県警が「全くの事実無根」と発表しています。[参照]
しかし、投稿を「ただ見て拡散した」「いいねを押した」という行為=自動的に逮捕対象になるわけではありません。法制度上、投稿・発信者とみなされる立場かどうかが鍵です。
「拡散・いいね」をした人の法的リスクとは?
一般に「いいね」だけを押した、あるいは自分の判断で投稿をリツイート・シェアしただけ、という行為が直ちに犯罪とされるケースは限定的です。拡散に至る過程で、発信者と同等の認識・意図(虚偽と知りながら拡散するなど)が認定されれば、責任が問われる余地があります。[参照]
例えば、ある情報を「確定的に虚偽と理解していた」うえで大量に再配信したり、組織的に拡散活動を行ったと認められた場合、名誉毀損・偽計業務妨害・信用毀損罪などが検討される可能性があります。ただし、単純に“いいね”を押したというだけでは、起訴される要件を満たすかどうかは慎重に判断されます。
実例としての立花氏事件と拡散者の扱い
立花氏のSNS投稿を巡っては、「死者に対する名誉毀損罪(刑法230条2項)」が専門家から指摘されています。[参照]
記事では、「拡散・いいねをした人=自動的に犯罪になる訳ではないが、拡散行為に積極的に関与し、虚偽を認識していたと判断される形なら民事・刑事いずれもリスクあり」と整理されています。つまり、投稿者本人がまず対象で、拡散者には“発信補助・共犯的関与”の有無が検討されます。
どんなケースで拡散者も処罰対象になり得るか?
法的には以下のような条件が重なった場合、拡散者にも責任が生じ得ます。
- 虚偽と知りながら再配信・拡散している
- 自ら投稿を企画・製作し、他者と共同して拡散を行っている
- 拡散によって被害者(例えば名誉を傷つけられた人)に明らかな損害が出ている
逆に、「単に他人投稿を“いいね”しただけ」「情報の真偽を疑わずに軽く共有しただけ」という状況では、刑事起訴される可能性は低いとされています。[参照]
注意点と実務的な留意事項
ものごとは次のように整理できます。
・逮捕・起訴されるかどうかは、(1)犯罪の構成要件に該当するか、(2)証拠や被害状況・被害者の告訴意思などがあるか、(3)拡散者の関与・認識・態様が明確か、という観点から判断されます。
・また、仮に“いいね”を押したというだけで起訴されなくても、後の民事訴訟(賠償請求)に発展する可能性は残ります。拡散による損害が認められれば、不法行為責任(民法709条)を問われるケースもあります。[参照]
まとめ
立花氏の事件を巡って「いいねしたら逮捕されるのか?」という問いに対しては、「いいね=即逮捕」という図式ではない」というのが現行法の整理です。投稿者本人がまず責任範囲に入り、そのうえで拡散者・共有者の関与・認識・態様が刑事・民事責任を問われるかどうかの判断材料となります。
SNS上の発信・拡散という行為は、匿名性が高く軽く行われがちですが、被害者の実害・投稿・拡散の態様・証拠の有無・告訴の有無などによって責任の明暗が大きく分かれます。発信・拡散をする側としては、事実確認・真偽判断・安易な拡散を控えるという慎重な姿勢が重要です。


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