「8時10分前」が流行語大賞候補に相応しい理由とは?選定基準と世相分析から読み解く

流行、話題のことば

「今年は“8時10分前”を流行語大賞の候補にすべきだった」という声が出ています。確かに多くの人が使った、あるいは共感した言葉であった可能性があります。本記事では、そもそも流行語大賞の選定基準とは何か、そして“8時10分前”という言葉がその基準を満たすかどうかを整理します。

新語・流行語大賞とは何か:選定の枠組み

まず、新語・流行語大賞(正式名称「『現代用語の基礎知識』選 新語・流行語大賞」)の概要を押さえておきましょう。[参照]

主催は自由国民社。毎年その年の世相を反映し、「ことば」+それにまつわる人物や団体を顕彰するという形式で、ノミネート → トップテン → 年間大賞を選出します。[参照]

“8時10分前”という言葉の背景と使われ方

この言葉が示すのは、ある日常または社会的な状況の中で〈集合時間・スタート直前〉などを象徴的に指しており、多くの人が使った・聞いたという可能性があります。しかし、マスメディア・ネット談義・SNS上での広がりや定着性、具体的エピソード・背景の明確な提示が、現時点では十分に報じられていません。

例えば、Yahoo!知恵袋には「今年は“8時10分前”を候補に入れるべきだった」という質問投稿がありますが、流行の根拠・使用範囲・人数規模などが示されていません。[参照]

候補に相応しいかを判断する4つの視点

流行語候補として“8時10分前”を評価するため、以下の視点が有効です。

  • ①使用・認知の広がり … 多数の人が使い・聞いたことがあるか。
  • ②世相・背景の象徴性 … その言葉がその年の社会状況・文化を象徴しているか。
  • ③メディア・SNSでの拡散・定着性 … 記事・動画・投稿など媒体横断で広まっているか。
  • ④記憶・再利用可能性 … 受賞後にも語り継がれる・使い続けられるか。

これらを踏まると、“8時10分前”は象徴的でユニークな表現である一方、使用実績・報道量・定着性という点で、ノミネート候補と比べた際には証拠がやや弱いと考えられます。

過去の候補語と比較してみる

例えば、2025年のノミネート語には「エッホエッホ」「ミャクミャク」「国宝」「ぬい活」といった、SNSやネット文化を背景に広がった言葉が挙げられています。[参照]

こうした言葉と“8時10分前”を比較した場合、明確な定量データ(検索回数・投稿数・媒体掲載数)を提示できるかどうかが、ノミネート入り・大賞候補の鍵となるでしょう。

なぜ「候補に入れるべきだった」という声が出るのか

この言葉に対して「候補に入れるべきだった」という声が出る背景には、〈自分・周囲で使っていた〉〈話題になった〉〈短時間で共感された〉という体験的な印象があります。こうした“身近な流行”感こそ、流行語大賞に期待されている要素の一つです。

しかし、流行語大賞は「ただ多く使われた言葉」だけでなく、社会的文脈・広がり・記録性など複数の条件を重視しています。言い換えれば、「自分の感覚では流行ったけど、データ的には検証できない」という場合、ノミネートされにくいという現実があります。

まとめ

「8時10分前」は確かにユニークで、「今年の言葉」として候補になってもおかしくないと感じる人が多い言葉です。しかし、流行語大賞の制度的な視点から見ると、“身近に感じる流行”だけでは十分条件にならないということになります。

つまり、候補入りするためには「多数の人が使った/報道された/象徴性が高い」など複数の要素が揃っている必要です。したがって、来年以降、この言葉がさらに広がり・記録化されたかどうかに注目してみるのも一つの楽しみと言えるでしょう。

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