不起訴になった事件は犯罪件数に含まれる?不起訴増加と治安悪化の関係をわかりやすく解説

事件、事故

刑事事件のニュースでは「逮捕されたが不起訴になった」という報道を目にすることがあります。そのため、「不起訴になった事件は犯罪として数えられていないのではないか」「不起訴が増えると実際の犯罪は増えているのではないか」と疑問に感じる人も少なくありません。

しかし、犯罪統計で扱われる数字にはさまざまな段階があり、認知された犯罪、検挙された事件、起訴された事件など、それぞれ意味が異なります。

この記事では、不起訴事件が犯罪件数にどのように扱われるのか、不起訴の増加が治安悪化を意味するのかについて整理して解説します。

不起訴になった事件は犯罪件数に含まれるのか

結論から言うと、不起訴になった事件も警察が認知した段階では犯罪として記録されます。ただし、どの統計を見るかによって数字への反映のされ方が変わります。

警察が公表する犯罪統計では、発生した犯罪の認知件数や検挙件数などが集計されます。一方、検察が扱う起訴・不起訴の数字は、その後の刑事手続きに関する統計です。

例えば、窃盗事件が発生し警察が捜査したものの、検察が不起訴処分にした場合でも、警察が認知した窃盗事件として犯罪統計上に記録される場合があります。

犯罪件数と起訴件数は別のもの

犯罪に関する数字を見る際には、「犯罪件数」と「起訴された件数」を混同しないことが重要です。

犯罪件数とは、一般的には警察が把握した犯罪の発生数を指します。一方、起訴件数は検察が裁判を求めた事件数です。

つまり、犯罪が発生した後に、証拠不足や被害者との示談、犯人の年齢や事情などによって不起訴になったとしても、その事件の発生自体がなかったことになるわけではありません。

なぜ不起訴になる事件があるのか

不起訴にはいくつかの理由があります。代表的なものとして、「嫌疑なし」「嫌疑不十分」「起訴猶予」などがあります。

例えば、捜査によって犯罪の疑いが晴れた場合や、犯罪をした可能性はあるものの裁判で有罪を立証する十分な証拠がない場合には不起訴となります。

また、本人が反省している、被害者との示談が成立している、初犯であるなどの事情を考慮して、検察官の判断で起訴を見送る「起訴猶予」もあります。

不起訴が増えると治安は悪化しているのか

不起訴件数が増えたという事実だけで、治安が悪化しているとは判断できません。

なぜなら、不起訴になる割合は犯罪発生数だけではなく、検察の処理方針、証拠収集の状況、社会的事情など複数の要因によって変化するためです。

例えば、犯罪認知件数が増えていても、軽微な事件や証拠不足の事件が増えれば不起訴も増える可能性があります。反対に、犯罪件数が減っていても重大事件の捜査が増えれば起訴率が変化することもあります。

治安を判断するときに見るべき指標

治安の変化を知るには、不起訴件数だけではなく、犯罪認知件数、人口あたりの犯罪率、凶悪犯罪の発生状況など複数の指標を見る必要があります。

例えば、刑法犯全体の件数が増えていても、その多くが軽微な犯罪である場合と、殺人や強盗など重大犯罪が増えている場合では、社会への影響は大きく異なります。

また、警察への通報件数が増えたことで犯罪認知件数が増加する場合もあり、数字だけを見るのではなく背景を理解することが大切です。

不起訴制度は犯罪を見逃している制度なのか

不起訴制度は、犯罪を無条件に許すための制度ではありません。刑事裁判では有罪を証明するために高い証明水準が求められるため、証拠や事情を総合的に判断して処分が決められます。

例えば、軽微な事件で被害回復が行われた場合などでは、裁判による処罰よりも社会復帰や再犯防止を重視することがあります。

一方で、重大事件や社会的影響の大きい事件では、検察が慎重に判断し、起訴されるケースもあります。

まとめ

不起訴になった事件は、起訴された事件とは別に扱われますが、警察が認知した犯罪として記録される場合があります。そのため、不起訴になった件数だけを見て「犯罪件数が隠されている」と判断することは正確ではありません。

また、不起訴の増加がそのまま治安悪化を意味するわけでもありません。治安を判断するには、犯罪認知件数や犯罪の種類、社会状況などを総合的に見る必要があります。

刑事事件の統計を見る際には、「発生した犯罪」「検挙された事件」「起訴された事件」というそれぞれの段階の違いを理解することが重要です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました