イージス艦などの軍艦に搭載されるCIWS(近接防御火器システム)は、ミサイルなどが艦の防空網を突破した場合に最後の防衛手段として使用されます。映像では猛烈な勢いで弾丸を発射しているため、「数万発や10万発もの弾を撃っているのではないか」と感じる人も少なくありません。
しかし、実際のCIWSの射撃数は映像から受ける印象とは異なります。この記事では、CIWSがどのくらいの弾数を発射するのか、なぜ大量の弾丸を撃つ必要があるのか、そして高価な弾薬を使ってでも迎撃する理由について詳しく解説します。
CIWSとは何のために搭載されている兵器なのか
CIWSとは「Close-In Weapon System(近接防御火器システム)」の略で、艦艇に接近する対艦ミサイルや航空機などを最後の段階で迎撃するための装備です。
イージス艦などの大型艦艇では、遠距離からミサイルを探知して迎撃する防空ミサイルシステムを搭載しています。しかし、敵ミサイルが高速・低空飛行などによって防空網を突破する可能性もあります。
そのような最終局面で、艦そのものを守るために使用されるのがCIWSです。つまり、CIWSは「最後の盾」とも呼べる存在です。
CIWSは本当に10万発も撃っているのか
CIWSの射撃映像を見ると、弾丸が連続して発射されるため非常に多く撃っているように見えます。しかし、実際の射撃では10万発もの弾丸を一度に発射するわけではありません。
代表的なCIWSであるファランクス(Phalanx CIWS)は、毎分数千発という非常に高い発射速度を持っています。例えば初期型では毎分約3000発、改良型では毎分4500発程度の発射速度があります。
この発射速度でも、実際の迎撃射撃は数秒程度で行われることが多く、1回の射撃で使用される弾数は数百発から数千発程度です。
なぜCIWSは大量の弾丸を撃つ必要があるのか
CIWSが大量の弾丸を発射する最大の理由は、ミサイルの進路に多数の弾丸を送り込むことで命中する確率を高めるためです。
対艦ミサイルは非常に高速で接近するため、拳銃やライフルのように1発だけ狙って撃つ方法では十分な迎撃効果を期待できません。そのため、目標周辺に弾幕を作り、飛来するミサイルを破壊する可能性を高めます。
例えば、時速数千kmで飛行するミサイルに対して、数秒間だけ射撃できる状況では、少ない弾数で確実に命中させることは非常に困難です。そのため、あえて大量の弾丸を使用します。
CIWSの弾薬は高価でも撃つ価値があるのか
CIWSの弾薬には当然コストがかかります。しかし、軍艦そのものの価格や乗員の安全を考えると、迎撃のために弾薬を消費する価値があります。
例えば、高価なミサイルや艦艇が敵の攻撃によって失われる可能性がある場合、数百発から数千発の砲弾を使って防御する方がはるかに合理的です。
CIWSは「弾薬を節約するための兵器」ではなく、「艦を失わないために必要な最後の防衛装置」として設計されています。
CIWSは撃ち続ければ必ずミサイルを落とせるのか
CIWSは非常に高性能ですが、万能な兵器ではありません。射程距離には限界があり、近距離まで接近したミサイルを対象にするため、迎撃できる時間は非常に短くなります。
また、近年の対艦ミサイルは高速化や低空飛行能力の向上など、CIWSにとって厳しい目標になっています。そのため、現代の艦艇ではCIWSだけに頼らず、長距離ミサイル防空、中距離防空、電子妨害など複数の防御手段を組み合わせています。
イージス艦の場合も、CIWSは最初から最後まで戦う主役ではなく、何重にも張られた防御網の最後を担当する役割です。
CIWSの射撃映像が特に迫力ある理由
CIWSの映像が非常に激しく見える理由は、発射速度が極端に高いためです。毎秒数十発の弾丸が発射されることで、肉眼では連続した光や煙のように見えます。
しかし、その短時間の射撃によってミサイルの進路上に密集した弾丸の壁を作り、少しでも命中する可能性を高めています。
つまり、CIWSの大量射撃は無駄撃ちではなく、高速で接近する小さな目標を破壊するために計算された戦術なのです。
まとめ
CIWSは映像では大量の弾丸を撃っているように見えますが、実際には10万発もの弾薬を一度に使用するわけではありません。多くの場合、数秒間の射撃で数百発から数千発程度の弾丸を発射します。
大量の弾丸を使う理由は、高速で迫るミサイルに対して命中確率を高めるためです。弾薬費は発生しますが、艦艇や乗員を守る最後の防衛手段として考えれば、その価値は非常に大きいと言えます。
CIWSは単に弾をばらまく兵器ではなく、限られた時間の中で敵の攻撃を阻止するために設計された高度な防御システムなのです。


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