2026年は災害が多い年なのか?地震・豪雨・台風の発生状況から考える「災害が多い」の判断基準

災害

大きな地震や豪雨、台風などが短い期間に相次ぐと、「今年は災害が多いのではないか」と感じることがあります。2026年(令和8年)も、地震や大雨など社会的影響の大きい災害が複数発生しており、例年より災害が多いような印象を持つ人は少なくないでしょう。

ただし、「災害が多い年」と科学的に判断するには、災害件数だけでなく、種類、規模、被害額、死傷者数、被災地域などを過去の年と同じ条件で比較する必要があります。大きな災害が続いたという印象と、統計上の発生頻度が高いことは必ずしも同じではありません。

ここでは2026年8月末までに公表されている気象庁、内閣府、総務省消防庁などの情報を基に、2026年の災害状況と「今年は災害が多い」と感じる理由、さらに災害の多寡を判断するときの注意点を整理します。

2026年は実際に大きな災害が複数発生している

2026年8月末時点の総務省消防庁「令和8年 災害情報一覧」を見ると、地震、大雨、台風、火山活動などについて多数の被害・対応情報が公表されています。[参照:総務省消防庁 令和8年 災害情報一覧]

特に6月以降を見ると、複数の地震や大雨、台風について消防庁が対応状況を公表しています。7月には熊本県で非常に強い地震が発生し、8月には千葉県を中心とする豪雨や複数の台風による被害も発生しました。

そのため、少なくとも「2026年は大きな自然災害がほとんど発生していない年」とはいえません。一方で、これだけを根拠として過去数十年間で特別に災害件数が多い年だと断定することもできません。

2026年に特に大きな影響を与えたのが「令和8年熊本地震」

2026年7月28日、熊本県熊本地方を震源とするマグニチュード7.1の地震が発生し、最大震度7を観測しました。気象庁はこの地震とその後の一連の地震活動を「令和8年熊本地震」と命名しています。[参照:気象庁 令和8年7月の地震活動及び火山活動について]

気象庁が2026年8月10日に公表した資料では、7月だけで全国において震度3以上を観測した地震が83回、震度4以上が24回発生したとされています。

さらに気象庁の「日本付近で発生した主な被害地震」によると、熊本地震では死者や多数の負傷者、住宅の全壊・半壊・一部破損など大きな被害が確認されています。[参照:気象庁 日本付近で発生した主な被害地震]

熊本以外でも2026年には被害を伴う地震が発生

2026年に被害を伴った地震は熊本地震だけではありません。気象庁の資料には、6月に山梨県東部・富士五湖を震源とする地震で最大震度6弱を観測した事例なども掲載されています。

ほかにも最大震度5弱以上を観測した地震が複数あり、人的・物的被害が報告されたケースがあります。そのため、地震という観点では2026年に強い揺れを経験した地域が複数存在します。

ただし、日本は世界的に見ても地震活動が活発な地域に位置しています。ある期間に大きな地震が続いたからといって、「今後さらに大地震が続く」と単純に予測することはできません。地震については短期的な発生時期・場所・規模を高い精度で予知することは現在の科学では困難です。

2026年は豪雨による災害も目立っている

地震だけでなく、2026年には大雨による災害も発生しています。内閣府の災害情報には「令和8年8月千葉豪雨」などが掲載されており、政府による被害状況や対応について情報が公表されています。[参照:内閣府 防災情報のページ]

8月13日には千葉県の複数の市に大雨特別警報が発表されました。気象庁は「これまでに経験したことのないような大雨」として最大級の警戒を呼びかけています。[参照:気象庁 千葉県に大雨特別警報発表]

豪雨によって河川の堤防などが損傷した地域では、その後の雨でも災害が起こりやすくなります。このため気象庁は千葉県の一部地域について、大雨警報などの発表基準を通常より引き下げる暫定運用も実施しています。

台風による大雨や暴風も相次いでいる

気象庁の特定期間の気象データを見ると、2026年には台風や梅雨前線に伴う大雨・暴風について複数の集計が行われています。[参照:気象庁 特定期間の気象データ]

また総務省消防庁の災害情報には、2026年8月だけでも台風第13号、第15号、第18号などについて被害および消防機関の対応状況が掲載されています。

地震とは異なり、台風や豪雨は気象現象なので一定程度事前に予測できます。台風が接近してから準備するのではなく、気象庁の台風情報や自治体の避難情報を早めに確認することが重要です。

猛暑も「自然災害」として考える必要がある

災害という言葉から地震や台風を連想しがちですが、近年は極端な高温も重大な気象リスクとして扱われています。

気象庁によると、2026年7月中旬から下旬には顕著な高温となり、西日本では7月中旬・下旬の平均気温が1946年の統計開始以降で最も高くなりました。また国内で初めて5日連続の「酷暑日」が観測されたとされています。[参照:気象庁 2026年7月中旬~下旬の顕著な高温]

高温は建物を倒壊させるような災害ではありませんが、熱中症によって生命や健康に直接影響します。「今年は災害が多いか」を考える場合、地震・豪雨・台風だけでなく猛暑なども含めて考える必要があります。

複数の災害が「激甚災害」の対象となっている

被害規模を見るうえで参考になる制度の一つが「激甚災害」です。これは著しく激甚な災害が発生した場合に、地方公共団体や被災者への復旧支援について国庫補助などの特別措置を講じる制度です。

内閣府が公表している2026年の情報を見ると、熊本地震のほか、梅雨前線豪雨や8月の千葉豪雨などについて激甚災害指定に関する手続きが進められています。[参照:内閣府 最近の激甚災害の指定状況]

つまり「ニュースで多く感じる」という印象だけでなく、社会・インフラへ大きな影響を与えた災害が実際に複数発生していることは公的資料からも確認できます。

それでも「2026年は例年より災害が多い」と単純には断定できない

ここまでを見ると2026年は非常に災害の多い年のように見えます。しかし「今年は例年より災害が多い」という評価には、比較する指標を決めなければならないという問題があります。

例えば地震なら「地震そのものの回数」「震度5弱以上の回数」「死傷者を出した地震の数」では結果が変わります。豪雨についても「大雨の日数」「特別警報の回数」「浸水した住宅数」「被害額」など、どの数字を使うかによって評価が変わります。

さらに2026年はまだ8月末時点であり、1年間の途中です。年間統計が完成していない段階で過去の1年間と単純比較すると、正確な評価になりません。

災害が続くと「今年は特に多い」と感じやすい理由

人間は短期間に強い出来事を何度も経験すると、その出来事が通常より頻繁に発生していると感じやすくなります。特に大地震や豪雨のように映像のインパクトが大きい災害は記憶にも残りやすいものです。

例えば「小規模な災害が20件発生した年」と「全国的に報道される巨大災害が3件発生した年」を比較すると、後者のほうを「災害が多かった年」と感じる人もいるでしょう。しかし、単純な発生件数なら前者のほうが多いことになります。

したがって、「災害が多く感じる」と「統計的に災害が多い」は分けて考える必要があります。

地震と豪雨・猛暑では長期的な考え方も異なる

災害を一括りにすることにも注意が必要です。地震と気象災害では発生する仕組みがまったく異なります。

地震は地下のプレートや断層の活動によって発生します。一方、豪雨、猛暑などは大気や海洋の状態と密接に関係します。そのため「今年は地震が多いから台風も増える」といった因果関係はありません。

また気象庁は2026年夏の顕著な高温について、気圧配置などに加えて地球温暖化等の寄与も考えられると説明しています。気象災害について長期的な変化を考える際には、個別の年だけでなく数十年規模の気候統計を見ることが重要です。

「今年は災害が多いか」より重要なのは次の災害への備え

年間の災害件数が平均より多いか少ないかは統計的には重要ですが、個人の防災という意味では、それ以上に「自分の地域で災害が発生した場合に対応できるか」が重要です。

例えば自宅周辺のハザードマップを確認しておけば、大雨の際に河川氾濫や土砂災害の危険がある場所なのか判断できます。また家具の固定、飲料水・食料・携帯トイレ・モバイルバッテリーなどの備蓄は地震だけでなく台風や停電にも役立ちます。

特に大きな地震の被災地域では地盤や河川施設などが損傷し、その後の雨による危険性が高まることがあります。実際に気象庁は令和8年熊本地震後、被災した一部地域について大雨警報などの基準を引き下げています。[参照:気象庁 令和8年熊本地震に伴う大雨警報等の暫定運用]

まとめ:2026年は大規模災害が目立つが「例年より多い」の確定には年間統計が必要

2026年8月末までを見ると、令和8年熊本地震、各地の強い地震、豪雨、複数の台風、記録的な高温など、社会的影響の大きい自然現象・災害が相次いでいます。そのため、体感として「今年は災害が多い」と感じることには十分な背景があります。

一方、2026年が過去の平均と比べて統計的に「災害の多い年」だったかどうかは、年の途中である8月末時点では確定できません。災害件数、死傷者数、被害額、震度、豪雨発生回数など、評価する指標によっても結論は変わります。

また大きな災害が続いても、それだけを理由に次の地震や台風が近いうちに起こると判断することはできません。災害の多寡を予測材料にするのではなく、気象庁・内閣府・自治体などの最新情報を確認しながら平常時に備えておくことが重要です。

2026年について最終的に評価する際には、年末以降に公表される年間の気象・地震統計や被害統計を過去の年と比較することで、より客観的に「災害が多い年だったのか」を判断できるでしょう。

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