築年数の古い木造住宅に住んでいると、「震度7のような大地震が来たら家が潰れるのではないか」「揺れ始めた瞬間に外へ走ったほうが助かるのではないか」と不安になることがあります。特に過去の大地震では古い木造住宅の倒壊が多数発生しており、家屋の下敷きになる危険を心配するのは自然なことです。
しかし、地震が発生して激しく揺れている最中に屋外へ走り出すことは、原則として推奨されていません。気象庁や内閣府は、家庭で強い揺れを感じた場合には、頭を保護し、丈夫な机の下や物が落ちてこない安全な場所へ移動し、慌てて外へ飛び出さないよう案内しています。[参照:気象庁]
古い木造住宅の場合も基本は「揺れている最中は身を守る」「揺れが収まったら建物の状態を確認し、危険なら速やかに屋外の安全な場所へ避難する」です。ただし、本当に重要なのは地震発生後の数十秒だけではなく、地震が来る前に住宅の耐震性を確認しておくことです。
- 震度7でも「すぐ外へ飛び出す」が基本ではない
- 揺れている最中は「頭と体を守る」ことを最優先にする
- 古い木造住宅だからといって震度7で必ず倒壊するわけではない
- 特に1981年以前の木造住宅は耐震診断を優先したい
- 1981年以降なら絶対安心というわけでもない
- 能登半島地震でも古い木造建築物の被害が目立った
- 震度7とは「建物が必ず倒れる」という意味ではない
- 揺れが収まったら危険な家から離れる
- 一度揺れに耐えたからといって家へすぐ戻らない
- 玄関の扉を開けることは「安全にできる範囲」で考える
- 2階にいるときに慌てて1階へ降りない
- 家具の転倒対策も「家の下敷き」対策と同じくらい重要
- 寝ているときの大地震を想定して安全な場所を作る
- 耐震改修が難しい場合は耐震シェルターや耐震ベッドという選択肢もある
- 耐震診断や改修には自治体の補助制度がある場合が多い
- 「古い」というだけでなく家の具体的な条件を確認する
- 海の近くなら「家が安全か」より津波避難を優先する場合がある
- 地震が来てから考えるのではなく「家の中の安全地帯」を決めておく
- 震度7の地震が起きたときの行動を時系列で整理
- 「祈るしかない」状態にしないために今できること
- まとめ:強い揺れの最中に外へ走るより、事前の耐震対策が重要
震度7でも「すぐ外へ飛び出す」が基本ではない
大きな地震が来た瞬間には、「家が壊れる前に外へ出なければ」と考えやすくなります。しかし震度6強や震度7クラスの揺れでは、立っていること自体が難しくなる場合があります。
強い揺れの中で玄関まで移動しようとすると、食器棚、テレビ、冷蔵庫などの家具が倒れたり、窓ガラスや照明器具が落ちたりする危険があります。階段で転倒する可能性もあります。
さらに屋外へ出ても安全とは限りません。瓦、外壁、窓ガラス、看板、ブロック塀などが落下・倒壊する可能性があります。そのため気象庁は、緊急地震速報を見聞きしたときや揺れを感じたときには「周囲の状況に応じて、あわてず、まず身の安全を確保する」ことを基本としています。[参照:気象庁]
揺れている最中は「頭と体を守る」ことを最優先にする
住宅内で強い揺れが始まった場合、まず家具や窓から離れ、物が落下・転倒してこない場所へ移動します。丈夫な机が近くにある場合は、その下に入り頭部を守ります。
机がなければ、座布団、クッション、バッグなどで頭や首を保護しながら、背の高い家具やガラスから離れた場所で姿勢を低くします。
気象庁も家庭内では「安全スペースに避難」「頭部を保護」「丈夫な机の下など安全な場所に避難」「慌てて外へ飛び出さない」としています。[参照:気象庁]
古い木造住宅だからといって震度7で必ず倒壊するわけではない
「築年数が古い木造住宅=震度7なら必ず潰れる」と考える必要はありません。同じ年代の木造住宅でも、構造、壁の量、接合部、基礎、地盤、劣化状態、増改築の有無、耐震補強の有無などによって耐震性は大きく異なります。
一方で、古い木造住宅ほど倒壊リスクが高い傾向があることは実際の地震被害から確認されています。国土交通省は、昭和56年、つまり1981年以前に建てられた建築物には耐震性が不十分なものが多く存在するとして、耐震診断と必要に応じた耐震改修を勧めています。[参照:国土交通省]
したがって築年数だけで「絶対安全」「絶対倒壊」と判断するのではなく、実際の住宅を専門家に診断してもらうことが重要です。
特に1981年以前の木造住宅は耐震診断を優先したい
1981年6月に建築基準法の耐震基準が大きく強化されました。それ以前の基準は一般に「旧耐震基準」と呼ばれます。
国土交通省は、昭和56年以前に建築された木造住宅について、まず耐震診断を行い、耐震性が不十分なら改修や建て替えを検討するよう案内しています。[参照:国土交通省]
例えば築50年の家で一度も耐震改修をしていない場合、「地震が来たらどう逃げるか」を考えるだけではなく、地震が来る前に耐震診断の対象として考える価値が高いといえます。
1981年以降なら絶対安心というわけでもない
1981年以降の「新耐震基準」で建てられた木造住宅でも、建築時期によっては確認しておきたい点があります。
国土交通省は2016年熊本地震の被害を踏まえ、1981年以降の新耐震基準による木造住宅のうち、接合部などの規定が明確化された2000年以前の住宅についても耐震性能を検証する方法を公表しています。[参照:国土交通省]
そのため大まかな目安としては、1981年以前なら特に耐震診断を重視し、1981~2000年ごろの木造住宅についても必要に応じて確認する、と考えるとよいでしょう。
能登半島地震でも古い木造建築物の被害が目立った
2024年の能登半島地震では、多数の木造住宅が倒壊・損壊しました。国土交通省の分析でも、被害が集中した地域では旧耐震基準の木造建築物に倒壊・崩壊が多く発生しています。
国土交通省は能登半島地震の結果などを受けて、「木造住宅の安全確保方策マニュアル」を作成し、住宅そのものの耐震化を基本原則として位置付けています。[参照:国土交通省]
つまり古い木造住宅の倒壊リスクは現実に存在します。そのリスクに対して「地震が起きた瞬間に外へ走ればよい」と考えるより、事前に建物を強くするほうが根本的な対策になります。
震度7とは「建物が必ず倒れる」という意味ではない
震度は、その場所でどの程度強く揺れたかを示す尺度です。震度7になったからといって、その地域の住宅がすべて倒壊するわけではありません。
同じ震度7でも、地震動の周期、継続時間、地盤条件などが異なります。また住宅ごとの耐震性能にも大きな差があります。
したがって「震度7ならどうせ家が潰れる」と諦める必要はありません。耐震診断、耐震改修、家具固定、安全な場所の確保などによって死亡・負傷するリスクを下げる余地があります。
揺れが収まったら危険な家から離れる
強い揺れが収まった後は、周囲を確認します。柱や壁が大きく壊れている、家が傾いている、基礎に大きな損傷がある、屋根や外壁が崩れそうといった明らかな異常があれば、その建物にとどまり続けるのは危険です。
靴やスリッパなどで足を保護し、落下物や倒壊物に注意しながら安全な場所へ避難します。大地震の後には余震が続くため、一度目の地震には耐えた住宅でも、損傷した状態で次の強い揺れを受けると倒壊する可能性があります。
国土交通省も、大きな揺れを受けた木造住宅では構造耐力が低下している可能性があるとして、地震後に住宅の状態を確認するためのチェック方法を公開しています。[参照:国土交通省]
一度揺れに耐えたからといって家へすぐ戻らない
大地震の後には、数分後、数時間後、数日後に強い地震が発生することがあります。そのため住宅に大きな損傷が見られる場合、「一回耐えたからもう大丈夫」と判断するのは危険です。
特に柱が傾いている、外壁が大きく割れている、建物全体にゆがみがあるなどの異常がある場合は、専門家や自治体による確認を受けるまで無理に居住を続けないほうが安全です。
避難所へ移動する場合も、倒壊しそうな建物、ブロック塀、電柱などから離れ、可能な限り安全な経路を選びます。
玄関の扉を開けることは「安全にできる範囲」で考える
強い揺れによって建物が変形すると、玄関やドアが開かなくなることがあります。そのため昔から「地震が来たらドアを開けて出口を確保する」と言われています。
消防庁も非常脱出口の確保を地震時の行動の一つとして紹介しています。[参照:総務省消防庁]
ただし、強い揺れの中で玄関まで走る必要はありません。ドアがすぐそばにあり安全に開けられる場合に行う程度と考え、まず頭部や身体を守ることを優先します。
2階にいるときに慌てて1階へ降りない
強い揺れの途中で階段を走って降りるのも危険です。階段から転落したり、家具や物が落下したりする可能性があります。
地震発生時に2階にいるのであれば、まずその階にある安全な場所で身を守り、揺れが収まってから避難経路を確認するのが基本です。
反対に1階にいる人が、揺れ始めてから「木造住宅は1階が潰れやすいから」と急いで階段を上ることも、強い揺れの最中には転落事故につながります。地震中に建物内を長距離移動すること自体を避けるのが基本です。
家具の転倒対策も「家の下敷き」対策と同じくらい重要
住宅が倒壊しなくても、家具の転倒や物の落下によって死亡・負傷する可能性があります。
寝室に背の高いタンスや本棚があり、倒れる方向にベッドや布団がある場合は、就寝中の地震で逃げる時間がほとんどありません。
家具を壁へ固定する、寝る場所に家具が倒れてこない配置にする、ガラスの飛散防止対策を行う、出口を家具が塞がない配置にするといった対策はすぐに始められます。気象庁も日頃からの備えとして家具の固定と安全スペースの確保を挙げています。[参照:気象庁]
寝ているときの大地震を想定して安全な場所を作る
大地震は昼間に起きるとは限りません。1995年の阪神・淡路大震災は早朝に発生し、2024年の能登半島地震は夕方に発生しました。
就寝中は緊急地震速報を聞いてから安全な場所へ移動できない可能性があります。そのため寝室そのものを安全にしておくことが重要です。
ベッドや布団の周囲から背の高い家具をなくす、家具を固定する、枕元に靴・懐中電灯・スマートフォンを置くなど、眠った状態から数秒で身を守れる環境を作っておくと安心です。
耐震改修が難しい場合は耐震シェルターや耐震ベッドという選択肢もある
古い住宅だと、家全体の耐震改修にはまとまった費用が必要になることがあります。そのため経済的な理由などから大規模な改修が難しい家庭もあります。
国土交通省の「木造住宅の安全確保方策マニュアル」では、住宅全体の耐震化を基本としつつ、それが難しい場合に命を守るリスク低減策として、部分的な改修、耐震シェルター、耐震ベッドなども取り上げています。[参照:国土交通省]
特に就寝時間が長い高齢者などの場合、寝室だけを補強する方法が現実的な選択肢になることもあります。ただし住宅全体を安全にする耐震改修の代替として完全に同等という意味ではありません。
耐震診断や改修には自治体の補助制度がある場合が多い
「古い家なので調べたいが、お金が心配」という場合は、住んでいる市区町村の耐震診断・耐震改修補助制度を確認するとよいでしょう。
旧耐震基準の木造住宅を対象として、耐震診断を無料または低額で実施したり、改修工事費の一部を補助したりする自治体があります。制度内容や対象住宅、補助金額は地域によって異なります。
市役所・区役所の建築、防災、住宅関連窓口で「木造住宅の耐震診断を受けたい」と相談すると、利用可能な制度を確認できます。
「古い」というだけでなく家の具体的な条件を確認する
耐震性を考えるときには、築年だけでなく住宅の状態も確認します。
| 確認したいこと | 理由 |
|---|---|
| 建築された年 | 1981年以前か、2000年以前かを確認する目安になる |
| 耐震改修歴 | 古い住宅でも補強済みなら状態が大きく異なる |
| 増築・改築歴 | 構造バランスが変化している可能性がある |
| 基礎や柱の劣化 | 腐朽・シロアリ被害などで強度が低下する場合がある |
| 1階の壁の量 | 壁が極端に少ない構造では耐震性に影響する |
| 屋根の重量 | 建物の地震時の挙動に影響する |
これらは住人だけで正確に判断することが難しいため、最終的には専門家による耐震診断が有効です。
海の近くなら「家が安全か」より津波避難を優先する場合がある
海岸や河口付近など津波浸水のおそれがある地域では、大地震後の行動が変わります。
気象庁は、海岸付近で強い揺れや長くゆっくりした揺れを感じた場合、津波警報の発表を待たず速やかに高台などへ避難することが重要だと案内しています。[参照:気象庁]
この場合、揺れが収まって安全に移動できる状況になったら、家の損傷を細かく確認したり荷物を集めたりせず、津波から逃げることを優先します。
地震が来てから考えるのではなく「家の中の安全地帯」を決めておく
緊急地震速報から強い揺れが来るまで数秒しかない場合もあります。その時間で「外へ出るか、2階へ行くか、どこへ逃げるか」と考える余裕はありません。
そこで普段から、家の各部屋について「ここで地震が来たらここへ身を寄せる」と決めておきます。物が落下しにくく、倒れてくる家具がなく、できれば丈夫な机がある場所が候補になります。
気象庁も、普段から安全スペースや避難経路を確認し、訓練をしておくよう呼びかけています。[参照:気象庁]
震度7の地震が起きたときの行動を時系列で整理
| タイミング | 基本行動 |
|---|---|
| 緊急地震速報・揺れ始め | 安全スペースへ移動し頭部を守る |
| 激しく揺れている最中 | 原則として外へ走らず、家具・ガラス・落下物から身を守る |
| 揺れが収まった直後 | 靴を履き、出口と周囲の危険を確認する |
| 建物に大きな損傷がある | 安全を確認しながら屋外や避難場所へ移動する |
| 津波危険地域 | 強い揺れの後は速やかに高台・津波避難場所へ向かう |
| 大地震後 | 余震に備え、損傷した建物へむやみに戻らない |
実際には地震ごとに状況が異なるため、この順番を機械的に守るというより「揺れている間は身を守り、その後はその場所に残る危険と避難する危険を比較する」という考え方が基本になります。
「祈るしかない」状態にしないために今できること
古い木造住宅について最も避けたいのは、「大地震が来たら運次第」と考えて何もしないことです。
建物そのものについては耐震診断と耐震改修、室内については家具固定と安全スペースの確保、避難については避難場所・避難経路の確認という3段階で準備できます。
国土交通省も住宅の耐震化を基本的な対策としており、やむを得ず本格的な改修が難しい場合にも部分改修や耐震シェルターなど、命を守るための複数の選択肢を示しています。[参照:国土交通省]
まとめ:強い揺れの最中に外へ走るより、事前の耐震対策が重要
古い木造住宅で震度7のような非常に強い地震が発生しても、揺れ始めた瞬間に慌てて屋外へ飛び出すことは基本的に推奨されません。激しい揺れの中を移動すると、家具の転倒、ガラス・瓦の落下、階段での転倒、ブロック塀の倒壊など別の危険にさらされるからです。
気象庁や内閣府が示す基本行動は、頭を保護し、丈夫な机の下や物が落ちてこない安全な場所で揺れをしのぐことです。揺れが収まった後、家が傾いている、柱や壁に大きな損傷があるなど危険な状態なら、安全を確認しながら建物から離れます。[参照:内閣府 令和8年版防災白書]
ただし古い木造住宅では、地震発生時の行動以上に地震が来る前の耐震対策が重要です。特に1981年以前に建てられた住宅には耐震性が不十分なものが多いため、国土交通省は耐震診断と必要に応じた改修を推奨しています。1981~2000年に建てられた木造住宅についても、構造によっては耐震性能の確認を検討する価値があります。[参照:国土交通省]
家全体を改修することが難しい場合にも、部分的な耐震改修、耐震シェルター、耐震ベッド、家具固定、安全な寝室づくりといった方法があります。自治体によっては耐震診断や工事への補助制度も用意されています。
「震度7が来たら家が潰れないことを祈るしかない」というわけではありません。地震は止められませんが、住宅の弱点を事前に調べて補強し、家具を固定し、安全な場所と避難経路を決めておくことで、下敷きになる危険を減らすことはできます。古い木造住宅で倒壊が特に心配なら、まず建築年を確認し、市区町村の住宅・建築・防災担当窓口へ「木造住宅の耐震診断を受けたい」と相談することが、最も現実的な第一歩です。


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