神奈川県で起きた「元交際相手との交際トラブルが繰り返され、女性の自宅マンションで殺害に至った事件」として知られているものの一つに、2023年6月29日に横浜市鶴見区で発生した女子大学生殺害事件があります。
被害に遭ったのは当時18歳の大学1年生・冨永紗菜さんで、殺人や住居侵入などの罪に問われたのは元交際相手の伊藤龍稀被告です。事件以前から交際をめぐるトラブルで警察が複数回対応していたことや、事件直前にも両者の間でトラブルが起きていたことから大きく報道されました。
一方、この事件についてはインターネット上で「ストーカーへの接近禁止命令が出ていた」「双方の親を交えて正式に話し合っていた」など、実際の報道と少し異なる形で記憶されているケースもあります。ここでは報道と裁判で確認できる情報を中心に、事件の経緯を整理します。
- 2023年6月に横浜市鶴見区で起きた女子大学生殺害事件
- 被害者と元交際相手は事件のおよそ2年前に知り合っていた
- 事件以前から警察が4回対応していた
- 「別れるなら殺す」と訴えていたことも報道されている
- 事件1週間前にも大きなトラブルが起きていた
- 「接近禁止命令が出ていた事件」という記憶には注意
- 「禁止命令が出ていたのに殺害された事件」なら別事件の可能性もある
- 事件当日、被告はなくなっていた鍵を使って室内へ侵入した
- ドライブレコーダーには犯行前の発言も残っていた
- 2024年6月、元交際相手に懲役18年の判決
- ストーカーとDVは情報が混同されやすい
- 事件を探す際に一致する特徴を整理
- まとめ:記憶に近いのは2023年の横浜・鶴見女子大学生殺害事件
2023年6月に横浜市鶴見区で起きた女子大学生殺害事件
事件が発生したのは2023年6月29日です。横浜市鶴見区にあるマンションの敷地内で、このマンションに住んでいた大学1年生の冨永紗菜さんが刃物で刺され死亡しました。
その後、元交際相手だった伊藤龍稀被告が殺人容疑で逮捕されました。裁判では殺人だけでなく住居侵入などについても審理され、起訴内容そのものについて大きな争いはありませんでした。
2024年6月21日、横浜地方裁判所は伊藤被告に対して懲役18年を言い渡しました。検察側の求刑は懲役20年でした。判決では、自分の気持ちを優先させた短絡的な犯行であることや、強固な殺意に基づく犯行だったことなどが指摘されています。[参照:朝日新聞]
被害者と元交際相手は事件のおよそ2年前に知り合っていた
報道によると、2人は事件のおよそ2年前、東京都大田区蒲田の飲食店で働いていた時期に知り合ったとされています。伊藤被告の知人は、伊藤被告が飲食店でボーイとして働き、そこでキャストとして働き始めた冨永さんと知り合ったと証言しています。[参照:集英社オンライン]
一部では勤務先について「ガールズバーだった」と紹介されていますが、主要報道で確認できる表現には「蒲田の飲食店」「ボーイ」「キャスト」などがあり、店舗の業態について情報が一定していません。そのため、特定の業態だったと断定するより、蒲田の飲食店で仕事を通じて知り合ったと理解しておくのが安全です。
冨永さんは当時10代で、事件発生時には18歳の大学1年生でした。したがって「高校生だった頃に知り合い、大学生になった後に事件が起きた」という記憶とは大筋で一致します。
事件以前から警察が4回対応していた
この事件を理解するうえで重要なのが、殺害事件以前から交際をめぐるトラブルが繰り返されていた点です。報道によると、2021年10月から2023年6月22日までに、冨永さん本人や第三者からの通報などを受け、警察が計4回対応していました。
報道された内容には、友人と一緒にいた冨永さんのところへ伊藤被告が現れて連れ戻そうとしたトラブルや、口論から暴力に発展したケースなどがあります。
さらに別れ話をめぐって「首を絞められた」と冨永さんが説明したケースも報じられています。警察は伊藤被告への口頭注意や家族への連絡などを行っていました。[参照:毎日新聞配信記事]
「別れるなら殺す」と訴えていたことも報道されている
事件後の報道では、冨永さんが過去のトラブルについて「別れるなら殺すと言われた」「別れ話をしたら首を絞められた」などと警察へ説明していたことが明らかになっています。
2022年12月には、伊藤被告の自宅付近の住民から男女が激しく言い争っているとの110番通報もありました。近隣住民は女性が「痛い」「やめて」などと叫ぶ声や、物が割れるような音を聞いたと証言しています。[参照:日刊スポーツ]
別の報道では、このとき冨永さんが「首を絞められた」「携帯電話を水没させられた」「キッチンハイターをかけられた」などと説明したとされています。その後、冨永さんから「仲直りした」と連絡があり、関係が継続しました。
事件1週間前にも大きなトラブルが起きていた
4回目となる警察対応は、事件のわずか1週間前にあたる2023年6月22日でした。車内で2人がトラブルになり、冨永さんが警察へ相談しています。
このとき、冨永さんが車内に残したバッグが返却されたものの、自宅の鍵がなくなっていたことも問題になりました。警察は家族に対して自宅の鍵を交換するよう助言したと報じられています。
また警察は冨永さんの父親を呼び、家族を介して交際トラブルに対応することを検討していました。毎日新聞の報道では、双方の家族を交えて話し合うことになっていたものの、警察が伊藤被告側の親に連絡を取ろうとしても電話に出ず、話し合いができない状態だったとされています。[参照:毎日新聞配信記事]
「接近禁止命令が出ていた事件」という記憶には注意
この事件を探す際に混同しやすいポイントがあります。それが「ストーカー規制法による接近禁止命令が出されていた」という情報です。
横浜・鶴見の冨永紗菜さんの事件について、事件前に伊藤被告へストーカー規制法上の禁止命令が発令されていたとする事実は、確認できる主要報道とは一致しません。
警察は交際トラブルについて複数回対応していましたが、冨永さんがその後に「仲直りした」と説明したケースもありました。事件後には、警察がより積極的な対応を取れなかったのかという観点から専門家による検証も行われています。[参照:弁護士JPニュース]
「禁止命令が出ていたのに殺害された事件」なら別事件の可能性もある
元交際相手によるストーカー事件では、複数の有名事件があるため記憶が混ざることがあります。例えば2023年1月に福岡市のJR博多駅近くで起きた女性殺害事件では、被害女性が元交際相手によるストーカー行為を警察に相談し、男にストーカー規制法に基づく禁止命令が出されていました。
また2012年に神奈川県逗子市で起きたストーカー殺人事件も、元交際相手による執拗な行為と警察対応の問題が大きく取り上げられた事件です。
そのため「神奈川県」「元交際相手」「ストーカー」「接近禁止」「女性が殺害された」といった複数の記憶が、横浜の女子大学生殺害事件や別のストーカー事件と混ざっている可能性があります。
事件当日、被告はなくなっていた鍵を使って室内へ侵入した
2024年の横浜地裁判決によると、伊藤被告は事件当日の2023年6月29日、伊藤被告宅にあった冨永さん宅の鍵を使って室内へ侵入しました。これは事件1週間前のトラブル後に見当たらなくなっていた鍵とされています。
その後、マンション敷地内で冨永さんの首や胸、腹を包丁で刺し、殺害しました。判決では事件前夜から当日朝にかけ、復縁できなければ殺害するという趣旨の独り言を被告が発していたことも認定されています。
さらに犯行に使用された包丁は量販店から盗んだものと認定されました。横浜地裁はこうした事情から、強固な殺意に基づく犯行であり、突発的なものとはいえないと判断しています。[参照:朝日新聞]
ドライブレコーダーには犯行前の発言も残っていた
裁判では、伊藤被告の車に搭載されていたドライブレコーダーの記録も重要な証拠として扱われました。
報道によると、事件前に冨永さんから別れを告げられた後、伊藤被告が車内で殺害を考える内容の独り言を発していたことが明らかになりました。また事件当日の車内でも、刺すことを示唆する発言が記録されていたとされています。
こうした記録は、犯行がその場の口論だけから突然発生したのか、それ以前から殺意が形成されていたのかを判断する材料となりました。横浜地裁は最終的に「突発的とはいえない」と判断しています。[参照:集英社オンライン]
2024年6月、元交際相手に懲役18年の判決
横浜地裁は2024年6月21日、殺人や住居侵入などの罪に問われた伊藤龍稀被告に懲役18年を言い渡しました。検察側は懲役20年を求刑していました。
判決では、復縁できないことへの思いから犯行に至った事情について一定の言及をしつつも、それが落ち度のない被害者を殺害する理由にはならないとしています。一方、自首したことや反省・謝罪の言葉なども量刑判断で考慮されました。
遺族は判決後、刑が軽すぎるとの思いを明らかにしています。事件当時18歳だった冨永さんの命が奪われた結果と遺族の精神的苦痛についても、判決では重大なものとして認定されています。[参照:朝日新聞]
ストーカーとDVは情報が混同されやすい
交際相手や元交際相手による事件を調べる際には、「DV」「ストーカー行為」「ストーカー規制法による警告」「禁止命令」「裁判所による保護命令」などを区別する必要があります。日常会話ではこれらがまとめて「接近禁止」と表現されることがあり、過去の事件を探すときに混乱する原因になります。
神奈川県警によると、ストーカー規制法では、恋愛感情などを背景として待ち伏せ、見張り、住居付近への押しかけなど一定の行為を繰り返すことがストーカー行為として規制されます。また一定の要件を満たした場合には警告や禁止命令等の制度があります。[参照:神奈川県警察]
したがって、ニュースで「警察に相談していた」と報じられていても、それだけでストーカー規制法上の禁止命令が発令されていたことにはなりません。事件を特定するときには、この違いが重要です。
事件を探す際に一致する特徴を整理
横浜市鶴見区の女子大学生殺害事件には、記憶から事件を探す際の手掛かりとなる特徴が多数あります。
| 記憶している特徴 | 横浜・鶴見事件との一致 |
|---|---|
| 神奈川県で発生 | 一致。横浜市鶴見区 |
| 被害者が大学生 | 一致。大学1年生、当時18歳 |
| 高校生頃から交際 | おおむね一致。10代の時期に知り合い交際 |
| 元交際相手とのトラブル | 一致 |
| 警察への相談・通報 | 一致。約2年間で計4回の対応 |
| 双方の家族が関与 | おおむね一致。家族への連絡や監護依頼などがあった |
| 飲食店の仕事を通じて知り合った | 一致する報道あり |
| 自宅マンション付近で殺害 | 一致 |
| 接近禁止命令が発令済み | 主要報道では確認できず |
このように照合すると、「高校生の頃に仕事先で知り合った男性と交際し、大学生になった後、神奈川県内の自宅マンションで元交際相手に殺害された」という記憶から探している場合、2023年の横浜市鶴見区女子大学生殺害事件がかなり近いと考えられます。
まとめ:記憶に近いのは2023年の横浜・鶴見女子大学生殺害事件
2023年6月29日に横浜市鶴見区で発生した事件では、大学1年生だった冨永紗菜さん(当時18歳)が、元交際相手の伊藤龍稀被告によって殺害されました。
2人は冨永さんが10代だった時期に蒲田の飲食店で仕事を通じて知り合ったと報道されており、事件までの約2年間には交際トラブルを理由として警察が計4回対応しています。事件直前にもトラブルがあり、家族への連絡や自宅の鍵を交換するよう助言するなどの対応が行われていました。
事件当日には伊藤被告が冨永さん宅へ侵入した後、マンション敷地内で冨永さんを刺して殺害しました。その後の裁判で殺人や住居侵入などの罪に問われ、2024年6月に横浜地裁から懲役18年の判決を受けています。
ただし、「事件前にストーカー規制法上の接近禁止・禁止命令がすでに出されていた」という部分については、この事件の主要報道とは一致しません。禁止命令が出ていた別のストーカー殺人事件との記憶が一部混ざっている可能性があります。事件を特定するときには「神奈川」「18歳の大学生」「横浜市鶴見区」「元交際相手」「警察が4回対応」「2023年6月29日」といった情報を手掛かりにすると確認しやすいでしょう。


コメント