石川県・能登で災害が相次ぐのはなぜ?2023年の地震から2026年8月豪雨までを時系列で整理

地震

石川県、とりわけ能登地方では近年、大きな地震と記録的な大雨が相次いでいます。2023年5月の奥能登地震、2024年元日の能登半島地震、同年9月の記録的大雨に続き、2026年8月27日には石川県の一部に大雨特別警報が発表されました。

短期間にこれほど大きな災害が重なると、「なぜ石川県ばかり災害が続くのか」「地震と豪雨には何か関係があるのか」と感じるのも不思議ではありません。ただし、地震が豪雨を発生させているわけではなく、地震活動と大雨をもたらす気象現象は基本的に別の仕組みとして考える必要があります。

一方、地震で斜面や地盤が不安定になった地域では、その後の大雨によって土砂災害が起きやすくなる可能性があります。ここでは、2023年以降に石川県・能登地方を襲った主な災害を時系列で整理し、「災害が続いている」と感じられる背景を解説します。

2023年5月には奥能登で最大震度6強の地震が発生

近年の大きな出来事の一つが、2023年5月5日に石川県能登地方で発生したマグニチュード6.5の地震です。最大震度6強を観測し、石川県はこの地震を「令和5年奥能登地震」としています。[参照:気象庁 令和6年能登半島地震ポータルサイト]

ただし、能登の地震活動は2023年になって突然始まったものではありません。気象庁によると、石川県能登地方では2020年12月から地震活動が活発になっていました。

つまり2023年5月の地震は、能登地方で続いていた一連の活発な地震活動の中で発生した比較的大規模な地震と位置付けられます。その後も活動は収まらず、翌2024年にさらに規模の大きな地震が発生しました。

2024年元日にはM7.6・最大震度7の能登半島地震

2024年1月1日16時10分、石川県能登地方を震源とするマグニチュード7.6の地震が発生しました。輪島市と志賀町では最大震度7を観測し、能登地方を中心に極めて大きな被害が発生しました。[参照:気象庁 令和6年能登半島地震等の関連情報]

強い揺れだけではなく、津波、建物倒壊、火災、土砂災害、道路の寸断など複合的な被害が生じました。また地殻変動も非常に大きく、気象庁の資料では国土地理院の観測により輪島市西部で最大4メートル程度の隆起が検出されたことが紹介されています。[参照:気象庁 気象業務はいま2024]

なお「令和6年能登半島地震」という名称は、厳密には元日のM7.6の地震だけを意味するものではありません。気象庁は2020年12月以降に続いている一連の地震活動を「令和6年能登半島地震」としています。

2024年9月には復旧途中の能登を記録的大雨が襲った

大地震からの復旧・復興が続いていた2024年9月20日から22日にかけて、今度は低気圧と前線による大雨が能登地方を襲いました。

気象庁によると、9月21日の石川県能登では線状降水帯による猛烈な雨となり、1時間降水量や3時間降水量などで観測史上1位を更新した地点がありました。石川県内では期間中の総降水量が500ミリを超えた所もあり、平年9月の月降水量の2倍を上回った地点もありました。[参照:気象庁 低気圧と前線による大雨]

特に深刻だったのは、巨大地震からわずか約9か月後だったことです。復旧途中の道路や住宅、河川などがある地域を豪雨が襲い、能登では地震災害と豪雨災害が短期間に重なることになりました。

2026年8月27日には石川県に再び大雨特別警報

そして2026年8月27日、石川県は再び非常に激しい大雨に見舞われました。気象庁は同日午前6時20分、石川県の羽咋市、志賀町、宝達志水町、中能登町と富山県氷見市に大雨特別警報を発表しました。[参照:気象庁 2026年8月27日報道発表]

大雨特別警報は、数十年に一度程度の降雨量となる大雨が予想される場合など、重大な災害が発生する可能性が著しく高まっている状況で発表される情報です。この日の石川県では加賀地方でも線状降水帯が発生するなど、広い範囲で記録的な大雨となりました。

同日夕方には特別警報から警報へ切り替えられる見込みとなったものの、気象庁は大雨によって地盤が緩んでいる場所があるとして、引き続き土砂災害への厳重な警戒、低い土地の浸水や河川の増水・氾濫への警戒を呼びかけました。[参照:気象庁 2026年8月27日16時発表]

石川県で災害が相次いだ流れを時系列で見る

主な出来事だけを並べても、石川県・能登地方が短期間に非常に厳しい状況に置かれてきたことが分かります。

時期 主な出来事 概要
2023年5月5日 令和5年奥能登地震 M6.5、最大震度6強
2024年1月1日 令和6年能登半島地震 M7.6、最大震度7、津波なども発生
2024年9月20~22日 能登地方などの記録的大雨 線状降水帯が発生し、500ミリを超える総降水量を観測した地点も
2024年11月26日 能登地方の地震 M6.6、最大震度5弱
2026年8月27日 石川県・富山県の記録的大雨 石川県内の一部に大雨特別警報

このほかにも余震や大雨などは発生しています。そのため、住民の体感として「一つの災害から立ち直る前に次の災害が来る」という印象になりやすい状況だったといえます。

特に能登では2024年元日の地震と同年9月の豪雨が約9か月しか離れていません。災害の規模だけでなく、復旧・復興の途中で別の大規模災害が発生したことが重要なポイントです。

地震と豪雨は直接つながっているのか

ここで注意したいのは、「大地震が起きたから豪雨も起きた」と考えることです。地震は地下の断層運動などによって発生する現象であり、豪雨は前線、低気圧、湿った空気、大気の不安定化などによって発生する気象現象です。

2024年9月の大雨についても、気象庁は前線や低気圧に向かって暖かく湿った空気が流れ込み、大気の状態が非常に不安定になったことを原因として説明しています。したがって、能登半島地震そのものが9月の豪雨を発生させたという関係ではありません。

2026年8月27日の大雨についても前線などの影響による気象現象です。短期間に地震と豪雨が続いたからといって、すべてを一つの原因で説明することは適切ではありません。

ただし地震の後は大雨による土砂災害に注意が必要

地震と豪雨の「発生原因」は別でも、被害の発生しやすさという点では相互に関係する場合があります。

大きな地震で斜面に亀裂が入ったり地盤が緩んだりすると、その後の雨によって崩壊する危険性が高まることがあります。気象庁の能登半島地震ポータルサイトでも、大雨や長雨の際には地盤が緩みやすく、これまでの地震活動によって通常より土砂災害が発生しやすくなっている可能性があるとして注意を呼びかけています。[参照:気象庁 令和6年能登半島地震ポータルサイト]

例えば見た目には斜面が残っていても、地震によって内部に亀裂が生じていれば、大量の雨水が入り込むことで崩れる可能性があります。この意味では、地震被災地における豪雨は通常以上に慎重な警戒が必要になります。

「石川県だけ異常に災害が多い」と単純化するのは難しい

2023年から2026年までを振り返ると、石川県、とりわけ能登地方で重大な自然災害が相次いだこと自体は事実です。そのため「受難が続いている」という表現が感覚的に使われることは理解できます。

しかし、そこから「石川県では今後も他県より必ず災害が続く」「地震が起きた地域には豪雨も起こりやすい」と一般化することはできません。日本では地震、台風、線状降水帯、豪雪など地域ごとにさまざまな自然災害のリスクがあります。

また、短期間に珍しい出来事が何度か続くこと自体は統計的に起こり得ます。「続いているから次もすぐ起きる」と予測できるわけではない点にも注意が必要です。

能登では「複合災害」と復興への影響が重要

能登の状況を考えるうえでは、災害の回数だけでなく、被害が積み重なる「複合災害」という視点が重要です。

住宅を再建している途中で豪雨が発生すれば、仮設住宅や避難生活を送る人にも新たな負担が生じます。道路や上下水道などのインフラ復旧中に別の災害が起これば、復旧工事そのものが遅れる可能性もあります。

さらに観光、漁業、農業、地域企業などへの影響も長期化します。同じ規模の雨であっても、すでに大地震で大きな被害を受けた地域に降る場合には、社会的な影響がより深刻になることがあります。

災害情報は「今日の状況」と過去の記録を分けて確認する

大雨が発生している最中は、過去との比較より現在の警報・避難情報を優先する必要があります。特に大雨特別警報が発表されるような状況では、「過去には大丈夫だった」という経験だけで判断するのは危険です。

気象庁は警報・注意報、キキクル(危険度分布)、河川情報などを随時更新しています。自治体から避難指示などが発令されている場合には、それらの最新情報も確認する必要があります。

また特別警報が解除された後も安全になったとは限りません。大量の雨が降った後は河川の水位上昇や土砂災害が時間差で発生する可能性があるため、警報や自治体の避難情報が継続していないか確認することが重要です。

まとめ:石川県・能登では短期間に大規模災害が重なっている

石川県・能登地方では、2023年5月のM6.5・最大震度6強の奥能登地震、2024年1月のM7.6・最大震度7の能登半島地震、2024年9月の記録的大雨、さらに2026年8月27日の記録的大雨と、数年間に大きな自然災害が相次いでいます。

その意味では、「災害が相次いでいる」という認識には事実上の根拠があります。特に2024年の能登では、巨大地震からの復旧・復興途上で記録的豪雨に見舞われたことが被害をより深刻なものにしました。

ただし、地震と豪雨が相次いだことを一つの原因で説明することはできません。地震活動と大雨は基本的に異なるメカニズムで発生します。一方で、地震によって地盤や斜面が不安定になった地域では、その後の大雨による土砂災害リスクが高まる可能性があるため、両者は「被害」という側面では切り離せない場合があります。

2026年8月27日の大雨についても、今後の被害状況は情報が更新される可能性があります。災害発生中や直後には、推測やSNS情報だけで判断せず、気象庁や石川県、各市町などが発表する最新の防災情報を確認することが重要です。

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