2026年は災害が多い?「今年は異常」と感じる理由を地震・豪雨・猛暑・気候変動から解説

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地震、大雨、台風、猛暑、土砂災害などのニュースが相次ぐと、「今年は災害が多すぎるのではないか」と感じることがあります。ただし、災害について考える際には、実際に発生頻度が長期的に増えている現象と、年による偶然の偏りが大きい現象を分けることが重要です。

特に注意したいのが、地震と気象災害を一括して「今年は災害が増えた」と考えないことです。地震はプレート運動などによって発生する地質現象である一方、豪雨や猛暑などは大気・海洋を含む気候システムと関係する現象です。発生する仕組みが異なるため、同じ原因でまとめて説明することはできません。

一方、日本では極端な大雨について長期的な増加傾向が観測されています。そこでこの記事では、2026年のように「災害が多い」と感じる年をどう捉えればよいのか、気象庁が公表している長期観測データを中心に整理します。

「災害が多い」と「自然現象が多い」は同じではない

最初に知っておきたいのは、「自然現象」と「災害」は厳密には同じ意味ではないことです。例えば大雨が降っても、人や建物にほとんど被害がなければ大きな災害にはなりません。反対に、同じ程度の雨でも地形や土地利用、河川の状況によっては洪水や土砂災害につながります。

気象庁も、極端な大雨の頻度を示すデータについて、それが災害の頻度や強度を直接示すものではないと説明しています。災害の発生には、その地域の地形や地質なども関係するためです。[参照:気象庁「極端現象発生頻度マップ」]

例えば同じ100mmの雨でも、短時間に集中するのか数日かけて降るのかによって影響は違います。都市部なら地下空間や道路の冠水、山間部なら土砂災害など、場所によって生じる危険も異なります。

極端な大雨は日本で実際に増加傾向にある

「最近、大雨が多くなった気がする」という感覚については、長期的な観測データによる裏付けがあります。気象庁の「日本の気候変動2025」では、日本国内の極端な大雨の発生頻度は増加しており、強い雨ほど増加率が高いとされています。[参照:気象庁「日本の気候変動2025」]

全国51地点の観測では、日降水量300mm以上といった極端な大雨の発生頻度が、1980年頃にあたる1976~1985年と比較して、最近10年間の2015~2024年ではおおむね2倍程度に増加したと気象庁は報告しています。

ここで重要なのは、「雨そのものが単純に毎年増え続けている」という意味ではない点です。年間総降水量については過去約130年間で明確な変化傾向が確認されていない一方、極端な大雨の頻度や強度が増加し、雨の降らない日数も増加しています。つまり、雨の降り方が極端になる傾向がポイントです。

なぜ温暖化すると大雨が強くなりやすいのか

気候変動と大雨の関係を理解するときには、大気中の水蒸気が重要になります。一般に気温が高い大気ほど、多くの水蒸気を含むことができます。

そのため、条件がそろって積乱雲などが発達した場合には、より多くの水蒸気が雨として地上へ落ちる可能性があります。気温が上昇すればすべての地域で常に雨が増えるという単純な関係ではありませんが、極端な降水を強める背景の一つになります。

気象庁は、地球温暖化に伴って極端な気象現象の頻度や強度が増加することが懸念されるとして、観測結果と将来予測を「極端現象発生頻度マップ」として公開しています。[参照:気象庁「確率降水量」]

ただし「今年の大雨は全部温暖化が原因」とは言えない

ここには重要な注意点があります。長期的に大雨が増加していることと、2026年に発生した個々の大雨について「これは温暖化が原因だ」と断定することは別問題です。

個々の豪雨には、前線の位置、台風、海面水温、大気中の水蒸気量、気圧配置、地形など複数の条件が関係します。その年特有の大気・海洋の状態によって、特定地域へ大雨が集中することもあります。

したがって科学的には、「温暖化によって極端な大雨が発生しやすくなる長期的傾向がある」という話と、「ある特定の災害がなぜ発生したのか」という個別の原因分析を分けて考える必要があります。

地震が多く感じられる理由は気候変動とは別に考える

一方、地震については豪雨や猛暑とは仕組みがまったく異なります。地震は地下の岩盤に力が加わり、そのひずみが限界に達して断層がずれることなどによって発生します。

日本列島は複数のプレートが関係する地震活動の活発な地域に位置しています。気象庁による2014~2023年のデータでは、日本とその周辺では1年間の平均でM7.0~7.9が約1回、M6.0~6.9が約17回、M5.0~5.9が約134回発生しています。[参照:気象庁「地震について」]

さらに震度1以上を観測する有感地震は、日本では概ね年間2,000回程度、平均すると1日あたり約5回発生すると気象庁は説明しています。震度4以上についても、2014~2023年の平均では、特殊な地震活動があった2016年を除き年間50回程度です。[参照:気象庁「地震予知について」]

地震は年による「ばらつき」が非常に大きい

平均で年間何回という数字があっても、毎年ほぼ同じ回数になるわけではありません。地震活動には大きなばらつきがあります。

代表的な例が2011年です。東北地方太平洋沖地震とその後の活発な地震活動によって、日本とその周辺ではM5.0以上の地震数が平常時の平均を大幅に上回りました。気象庁によると2011年にはM7.0~7.9が8回、M6.0~6.9が107回、M5.0~5.9が691回発生しています。

このように、大きな地震が発生すると余震などによって同じ地域の地震数が急増することがあります。そのため「今年は地震が多い」という印象だけから、日本全体の地震発生率そのものが長期的に上昇したとは判断できません。

地震と豪雨が同じ年に起きても共通原因があるとは限らない

大きな地震、大雨、猛暑、台風などが短期間に続くと、「何か一つの異常な原因があるのでは」と考えたくなるかもしれません。しかし、それぞれの現象は発生メカニズムが異なります。

例えば地震は主として地下のプレートや断層に関係します。一方、豪雨や台風は大気と海洋の状態に大きく左右されます。そのため、同じ2026年に複数の災害が起きたというだけでは、それらが相互に関連している証拠にはなりません。

「同じ年に発生した」という時間的な一致と、「同じ原因によって発生した」という因果関係は分けて考える必要があります。

「異常気象」という言葉にも気象庁の基準がある

ニュースや日常会話では珍しい天候を広く「異常気象」と呼びますが、気象庁ではより具体的な意味で使用されています。

気象庁では一般に、ある場所・ある時期について、過去に経験した現象から大きく外れ、人が一生の間にまれにしか経験しないような現象を異常気象としています。気温や降水量などでは原則として「30年間に1回以下」の頻度が一つの基準です。[参照:気象庁「極端現象とは」]

一方、日降水量100mm以上の大雨のように毎年どこかで発生する可能性がある現象も「極端現象」に含まれます。つまり大きな災害をもたらしたからといって、気象学上必ず「30年に一度の異常気象」になるわけではありません。

ニュースが集中すると「今年だけ特別に多い」と感じやすい

災害の多さを考える際には、情報環境の変化も無視できません。現在はテレビだけでなく、ニュースアプリ、SNS、動画サイト、防災アプリなどから全国の災害情報がほぼリアルタイムで届きます。

以前なら地域外では詳しく知らなかった局地的豪雨や震度3~4程度の地震でも、現在は発生直後に映像や現地投稿を見ることがあります。その結果、実際の発生数とは別に「次から次へと災害が起きている」という印象が強くなる可能性があります。

もちろん、これは「災害が増えているように感じるのは全部気のせい」という意味ではありません。前述したように極端な大雨には実際の長期増加傾向があります。実際の変化と情報量の増加が同時に存在し得ると考えるのが適切です。

「災害の件数」だけでは比較が難しい理由

今年と過去の年を比較するとき、「災害が何件あったか」だけを数える方法には限界があります。台風1個と局地的な豪雨1回、大地震1回を同じ「1件」と数えても、その規模や被害はまったく違うからです。

比較するなら、地震についてはマグニチュードや震度別の発生回数、雨については1時間降水量や日降水量の極端値、台風なら発生数・接近数・上陸数というように、現象ごとの統計を見る必要があります。

さらに「自然現象の多さ」と「被害額」「死傷者数」「被災地域の広さ」も別の指標です。防災インフラが整備されれば同規模の自然現象でも被害が減る可能性がありますし、人口や建物が集中した場所で起きれば被害が拡大する場合があります。

災害が続く年ほど「次もすぐ起きる」とは限らない

大きな災害が短期間に複数発生すると、「このペースなら年末までさらに大災害が続くのでは」と考えてしまいがちです。しかし、単純に今年前半の件数を延長して将来の災害を予測することはできません。

特に地震については、日時・場所・規模を高い精度で事前予測する確立された方法はありません。SNS上の「大地震の前兆」「特定の日に地震が来る」といった情報については、科学的根拠を確認することが重要です。

一方、台風や大雨などの気象現象については、数値予報や気象衛星、レーダーなどによって数時間から数日先の危険度を予測できる場合があります。そのため「災害が多いか」を心配するだけでなく、気象庁や自治体の最新情報を利用して具体的な防災行動につなげることが有効です。

災害が多いと感じたときこそ備えを見直す

自然災害の発生時期そのものを個人がコントロールすることはできません。しかし、自宅周辺にどのような危険があるのかを確認し、被害を減らす準備をすることはできます。

例えば自治体のハザードマップで洪水・土砂災害・津波などのリスクを確認し、避難場所と避難経路を家族で共有しておきます。飲料水、食料、モバイルバッテリー、ライト、常備薬などの備蓄についても、使用期限や充電状態を定期的に確認すると安心です。

地震については家具の固定や寝室周辺の安全確保も重要です。大雨については雨が激しくなってから避難方法を考えるのではなく、警戒レベルや自治体からの避難情報を事前に理解しておくと行動しやすくなります。

まとめ:災害が多く感じられる理由は一つではない

2026年のようにさまざまな災害のニュースが続くと、「今年は何かがおかしい」と感じることがあります。しかし、その理由を一つの原因だけで説明することはできません。

気象災害については、日本で極端な大雨の発生頻度や強度が長期的に増加していることが観測されており、気候変動との関係を無視することはできません。一方、個々の豪雨については気圧配置や前線などさまざまな条件が関係するため、すべてを単純に温暖化だけで説明することも適切ではありません。

地震はさらに別の現象です。日本では平常時から非常に多くの地震が発生し、年ごとのばらつきも大きいため、ある年に目立つ地震が続いたことだけを根拠に「地震そのものが年々増えている」と結論づけることはできません。

「今年は災害が多い」という感覚を検証するときは、地震・大雨・台風・猛暑などを分け、それぞれ長期統計と比較することが重要です。そして原因を一つに決めつけるより、確かな観測情報を確認しながら、自宅周辺のリスクと日頃の備えを見直すことが現実的な災害対策になります。

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