夏から秋にかけて九州で気になるのが台風です。8月後半になっても身近な地域への上陸や大きな影響が少ないと、「今年は台風が少ないのでは?」と感じることがあります。しかし、台風については発生数、日本への接近数、九州への接近数、上陸数を分けて考えることが重要です。
2026年は台風そのものが極端に発生していない年ではありません。気象庁の速報値では、日本標準時基準で2026年8月24日までに21個が発生しており、8月だけでも8個発生しています。一方、発生した台風が必ず九州へ向かうわけではないため、「台風は多いのに九州ではあまり台風らしさを感じない」という状況は十分に起こります。
さらに九州では、統計上9月も台風接近の多い時期です。8月まで比較的静かだったからといって、そのまま秋まで少ないとは限りません。ここでは気象庁の統計をもとに、2026年の状況と九州の台風シーズンについて整理します。
2026年は台風そのものの発生が少ないわけではない
気象庁が公表している2026年の速報値では、日本標準時基準で1月から8月24日までに21個の台風が発生しています。月別では1月1個、2月1個、3月1個、4月1個、5月2個、6月2個、7月5個、8月8個です。[参照:気象庁 台風の発生数]
つまり「2026年は台風自体がほとんど発生していない」という状況ではありません。むしろ8月は24日までですでに8個発生しています。
ただし、台風の発生場所と進路は毎回異なります。日本から離れた海域を進む台風や、沖縄・奄美付近には近づいても九州本土へ接近しない台風もあるため、発生数が多いことと九州への接近が多いことは同じではありません。
「発生」「接近」「上陸」はそれぞれ意味が違う
台風のニュースを見るときに混同しやすいのが「発生」「接近」「上陸」です。気象庁では、それぞれ異なる基準で集計しています。
| 用語 | おおまかな意味 |
|---|---|
| 発生 | 熱帯低気圧が台風の基準を満たして台風になったこと |
| 接近 | 台風の中心が対象地域の気象官署等から300km以内に入ったこと |
| 上陸 | 台風の中心が北海道、本州、四国、九州の海岸線に達したこと |
例えば九州の西側を通過する台風は、九州へ接近して暴風や大雨をもたらしても、九州の海岸線に中心が達しなければ「九州に上陸した台風」とはなりません。
逆に別の地方へ上陸した台風でも、その前後に九州へ接近して影響を与える場合があります。そのため九州での台風の多さを考える場合、上陸数だけではなく地方別の接近数も確認する必要があります。[参照:気象庁 台風の接近数]
九州では8月と9月がどちらも台風接近の多い時期
気象庁が1991~2020年の30年間をもとに算出した平年値を見ると、九州南部への台風接近数は年間3.9個です。月別では6月0.4個、7月0.7個、8月1.0個、9月1.2個、10月0.5個となっています。[参照:気象庁 台風の平年値]
九州北部地方についても年間3.8個で、6月0.3個、7月0.8個、8月1.1個、9月1.1個、10月0.4個です。なお気象庁の「九州北部地方」の統計には山口県も含まれます。
この数字から分かるのは、九州にとって9月は8月と同等、九州南部ではむしろ平年値上は8月以上に台風が接近しやすい時期だということです。したがって8月末まで大きな影響が少なかったとしても、台風シーズンが終わったと考えるのはまだ早い時期です。
なぜ9月になると日本へ向かう台風が増えやすいのか
台風は一年を通じて同じ場所を同じ方向へ進むわけではありません。気象庁によると、夏になると台風の発生する緯度が高くなり、太平洋高気圧の周辺を回って日本へ北上する台風が多くなります。[参照:気象庁 台風の発生・接近・上陸・経路]
8月は台風の発生数そのものが年間で最も多い時期ですが、台風を動かす上空の風が比較的弱いため、複雑な進路を取るケースもあります。
9月以降になると、南の海上から北上した後、進路を東寄りへ変えて日本付近を通過する典型的なコースを取る台風が増えてきます。気象庁も、過去に日本へ大きな災害をもたらした台風の多くが9月にこのような経路を取ったと説明しています。
「9月初旬から急に増える」とは限らない
注意したいのは、平年値は「9月1日になった瞬間から台風が増える」という予報ではないことです。平年値は長期間の統計を平均した数字であり、特定の年の特定の日に台風が来ることを意味しません。
ある年には8月に何度も接近して9月は少ないことがありますし、逆に8月までほとんど影響がなく9~10月に続けて接近する年もあります。
実際、気象庁の九州南部の過去データを見ると、2024年は8月1個・9月2個、2020年は8月1個・9月2個・10月1個、2018年には7月2個・8月4個・9月2個と、年によってかなり大きな違いがあります。[参照:気象庁 九州南部への台風接近数]
九州北部でも年ごとの差はかなり大きい
九州北部地方でも同じです。例えば2025年は8月1個、9月1個の接近でしたが、2024年は8月2個で9月は0個でした。2022年には7月2個、8月1個、9月2個となっています。[参照:気象庁 九州北部地方への台風接近数]
このように台風接近数は年ごとの振れ幅が大きく、「毎年8月には何個、9月には何個来る」と決まっているわけではありません。
数年間だけを見ても傾向を判断しにくいため、「今年は異常に少ない」と判断する際には、その年の体感だけでなく長期的な統計との比較が必要です。
2026年8月下旬には台風18号が九州周辺に影響
2026年8月下旬には台風18号(ソウデル)が東シナ海を進みました。8月27日時点では雨や風による影響はほぼ収まったものの、沖縄・奄美や九州の東シナ海側では高波への注意が必要な状況となりました。
この例からも分かるように、「上陸しなかった=影響がなかった」とは限りません。台風の中心から離れた場所でも、うねり、高波、大雨、強風などが発生する場合があります。
特に大型の台風や前線が存在するケースでは、台風本体が九州から離れていても暖かく湿った空気が流れ込み、大雨につながることがあります。そのため進路図の中心線だけを見るのではなく、雨雲や警報・注意報も確認する必要があります。
全国で見ると2026年8月までに台風は活発に発生している
気象庁の2026年速報値では8月24日までの発生数が21個となっています。一方、日本全国への接近数については8月20日時点で6個、本土への接近数は4個と集計されています。
つまり2026年は、少なくとも8月下旬までの段階では「台風そのものが少ない」というより、発生した台風の進路と、自分がいる地域への接近状況を分けて見る必要がある年と考えるのが適切です。
九州在住者にとって「今年は台風が少ない」と感じられても、日本の別の地域や海域では台風の影響を受けている場合があります。
9月は台風と秋雨前線の組み合わせにも注意
9月の台風で特に注意したいのが秋雨前線との組み合わせです。台風から流れ込む大量の暖かく湿った空気によって前線活動が活発になり、台風の中心から離れた場所で大雨になることがあります。
この場合、「台風の予報円が九州から離れているから大丈夫」とは限りません。進路だけでなく、気象庁の大雨情報、雨雲の動き、警報・注意報、キキクルなどを確認することが重要です。
特に旅行や屋外イベントを予定している場合は、台風が九州へ直接上陸するかどうかだけで予定を判断せず、交通機関や海上の状況も含めて最新情報を確認しましょう。
台風の長期予想は「何月何日に九州へ来る」までは分からない
台風シーズン全体について「今年は多そう」「少なそう」という傾向を予測することはできますが、数週間先の特定の日について「九州へ台風が上陸する」と正確に予測することはできません。
そのため「9月初旬になったら台風が増える」と決めつけるのではなく、熱帯低気圧が発生した段階から最新情報を確認していくことが大切です。
気象庁の台風情報では、発生中の台風について現在位置、強さ、進路予報、暴風域などを確認できます。台風が発生した際にはSNS上の予想図だけで判断せず、気象庁など一次情報も併せて確認すると安心です。[参照:気象庁 台風情報]
九州では10月まで台風への備えを続けたい
九州の台風シーズンは9月で完全に終了するわけではありません。平年値では九州南部への10月の接近数が0.5個、九州北部地方でも0.4個あります。
過去には10月に複数の台風が接近した年もあるため、9月を無事に過ぎたとしても一定の注意は必要です。
防災用品についても、台風が接近する予報が出てから慌てて準備するより、比較的天候が落ち着いている時期に飲料水、モバイルバッテリー、懐中電灯、非常食などを確認しておくほうが安全です。
まとめ:2026年は台風発生自体は少なくなく、九州は9月も警戒時期
2026年8月24日までに台風は21個発生しており、8月だけでも8個が発生しています。そのため、少なくとも「2026年は台風そのものがほとんど発生していない」という状況ではありません。
一方で台風の進路には大きな年変動があるため、九州への上陸・接近が体感的に少なく感じられる年はあります。台風の発生数と九州への接近数は別の数字として考える必要があります。
そして九州では9月も重要な台風シーズンです。気象庁の平年値では、九州南部への接近数は8月1.0個に対して9月1.2個、九州北部地方は8月1.1個、9月1.1個となっています。8月まで比較的静かだったからといって、2026年の台風シーズンが終わったとはいえません。
ただし「9月初旬から必ず増える」と予測できるものでもありません。台風は年によって発生場所や進路が大きく異なるため、平年値はあくまで季節的な目安です。9月から10月にかけても、個々の台風が発生した際に気象庁の最新情報を確認し、九州への接近が予想された段階で早めに備えることが大切です。


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