マイナンバーカードの機能をスマートフォンに搭載できるサービスが拡充され、確定申告を含む行政手続でもスマートフォンだけで本人確認や電子署名を行える場面が増えています。一方、高齢の親などの確定申告を家族のスマートフォンで手伝っている場合、「スマホにも本人のマイナンバーカードを入れるなら、本人名義のスマホを新しく契約しなければならないのか」と疑問に感じることがあります。
この点で重要なのは、「スマートフォンのマイナンバーカードを使うこと」と「従来どおり実物のマイナンバーカードをスマホで読み取ること」は別の利用方法だということです。スマートフォンへのマイナンバーカード搭載は便利な選択肢ですが、確定申告のために必ず利用しなければならない機能ではありません。
また、家族が入力操作を手伝う場合でも、申告そのものは納税者本人の申告として扱われる点に注意が必要です。ここでは2026年8月時点のデジタル庁・国税庁の案内をもとに、スマホのマイナンバーカードと家族の確定申告の関係を整理します。
- 「スマートフォンのマイナンバーカード」とは何か
- スマホへのマイナンバーカード搭載は必須ではない
- 「本人名義のスマホが必要」という話とは分けて考える
- 家族のスマホを「カード読み取り端末」として使う考え方
- 家族が確定申告を手伝うときに注意したいこと
- マイナポータルには家族等の「代理人設定」もある
- 「家族による手伝い」と「税務代理」は違う
- スマートフォンのマイナンバーカードを使わない選択肢も残っている
- ID・パスワード方式には今後変更予定がある
- 高齢者の確定申告では「スマホを買う」前に現在の申告方法を確認する
- スマホのマイナンバーカードを家族共用端末へ安易に登録しない
- まとめ:スマホへのマイナンバーカード搭載と確定申告を分けて考えよう
「スマートフォンのマイナンバーカード」とは何か
デジタル庁が案内している「スマートフォンのマイナンバーカード」は、実物のマイナンバーカードが持つ機能を対応するiPhoneやAndroidスマートフォンに追加して利用できるサービスです。顔や指紋などの生体認証を利用できるため、対応サービスでは実物のカードを毎回取り出して読み取る手間を減らせます。[参照:デジタル庁「スマートフォンのマイナンバーカード」]
e-Taxでもスマートフォンのマイナンバーカードを利用できます。国税庁によると、スマホ用電子証明書を利用する場合、実物のマイナンバーカードをスマートフォンで読み取らなくても申告書の作成・e-Tax送信ができます。つまり、スマホの中に本人確認・電子署名に利用できる機能を搭載しておくイメージです。[参照:e-Tax 確定申告の事前準備]
便利な機能ではありますが、ここを「今後はマイナンバーカードそのものをスマホに入れなければ確定申告できない」と理解すると混乱します。実際には複数の利用方法があります。
スマホへのマイナンバーカード搭載は必須ではない
2026年8月時点でも、e-Taxのマイナンバーカード方式では実物のマイナンバーカードと、カード読取対応スマートフォンを利用する方法が案内されています。スマートフォンのマイナンバーカードを搭載した場合は、カードを読み取る操作を省略できるという位置付けです。
したがって「スマートフォンのマイナンバーカードを利用しない=スマホで確定申告できなくなる」ということではありません。国税庁の確定申告書等作成コーナーでは、スマートフォンからマイナンバーカード方式で申告する手順が引き続き用意されています。[参照:e-Tax スマートフォンで確定申告書を作成する流れ]
例えば、高齢の親がスマートフォンをほとんど使わず、家族のスマートフォンを使って申告操作をしている家庭であれば、まず「スマホにマイナンバーカードを搭載しなければならない」という前提を外して考えることが大切です。
「本人名義のスマホが必要」という話とは分けて考える
確定申告で重要なのは、携帯電話会社との契約名義そのものより、誰のマイナンバーカード・電子証明書を使って本人確認や電子署名を行っているのかという点です。
e-Taxでは個人が申告・申請データを送信するとき、原則として本人の電子証明書を使って電子署名等を行います。国税庁も、個人のe-Tax送信について本人の電子証明書を使用する仕組みであることを説明しています。[参照:e-Taxで利用可能な電子証明書]
つまり「誰がスマートフォンを操作しているか」「携帯回線の契約者が誰か」「誰の電子証明書で申告するか」は、それぞれ別の論点として整理する必要があります。
家族のスマホを「カード読み取り端末」として使う考え方
従来のスマホ申告では、NFC対応スマートフォンをマイナンバーカードの読み取り端末として使用できます。これはスマートフォンそのものを本人確認書類にすることとは意味が異なります。
例えば、父親の申告書を作成している場面で、申告者である父親の実物のマイナンバーカードを対応スマートフォンで読み取るのであれば、スマートフォンはカードリーダーとして機能していることになります。国税庁も、マイナンバーカード対応スマートフォンをICカードリーダライタの代替として利用できると案内しています。[参照:e-Tax ご利用の流れ]
この仕組みと「スマートフォンのマイナンバーカード」は混同しやすいところです。前者は実物のカードをスマホで読む方法、後者はカードの機能を対応スマホに追加して利用する方法と考えると分かりやすくなります。
家族が確定申告を手伝うときに注意したいこと
高齢の家族の場合、本人だけですべての入力操作をすることが難しく、子や配偶者がパソコン・スマートフォン操作を手伝うことは珍しくありません。ただし「操作を手伝うこと」と「他人の名義で申告すること」は同じではありません。
申告者が父親であれば、申告内容や本人確認に関する情報は父親のものを使用します。マイナンバーカード方式で本人送信する場合も、申告者本人のマイナンバーカード・電子証明書を利用することが基本です。
また、暗証番号は本人確認に関わる重要な情報です。家族だからといって自由に管理・利用してよいものと考えず、本人の意思を確認しながら手続きを進めることが重要です。申告者本人による手続きが難しい事情がある場合は、税務署や税理士などに適切な方法を確認するほうが安全です。
マイナポータルには家族等の「代理人設定」もある
家族の手続きを支援する仕組みとして、マイナポータルには代理人設定があります。国税庁も確定申告におけるマイナポータル連携のFAQで、家族等親族を代理人として設定する方法を案内しています。[参照:国税庁 マイナポータルを活用した所得税確定申告について]
ただし、マイナポータル上で代理人設定をすれば、家族が本人に代わってあらゆる税務手続きを自由に電子署名・送信できるという意味ではありません。代理人設定には対象となるサービスや権限があり、e-Taxの申告送信とは区別して考える必要があります。
特に確定申告では、医療費通知など家族の情報をマイナポータル連携で取得する機能と、申告書そのものをe-Taxで送信する際の本人確認・電子署名を混同しないことが大切です。
「家族による手伝い」と「税務代理」は違う
確定申告を家族が手伝う際には、税務代理との違いにも注意が必要です。税務代理として他人の申告を業務として行うことには資格上のルールがあります。
国税庁のe-Taxでは、税理士による正式な代理送信について専用の仕組みが用意されています。税理士が代理送信する場合、本人のマイナンバーカード方式でそのまま代理送信するのではなく、税理士側の電子署名などを用いた別の手続きになります。[参照:e-Tax 税理士等による代理送信]
高齢の親の申告について判断が難しい場合、特に所得の種類が多い、譲渡所得がある、相続や事業所得が絡むといったケースでは、税務署や税理士へ相談すると確実です。
スマートフォンのマイナンバーカードを使わない選択肢も残っている
「新しい機能が始まった」と聞くと、従来の方法がすぐ廃止されるように感じることがあります。しかし少なくとも2026年8月時点では、国税庁はマイナンバーカード方式について、実物のマイナンバーカードと読取対応スマートフォンを利用する方法を案内しています。
スマートフォンのマイナンバーカードを利用すれば、実物のカードを毎回読み取る必要がなくなるなどの利便性があります。一方、年に一度の確定申告程度しか利用しない人であれば、従来方式を選択する考え方もあります。
「スマホに搭載できるようになった」ことと「スマホへの搭載が義務になった」ことは全く違います。新サービスのニュースを見る際には、この点を切り分けると理解しやすくなります。
ID・パスワード方式には今後変更予定がある
なお、マイナンバーカードを使わないe-Taxの方法として知られている「ID・パスワード方式」については注意が必要です。国税庁は、ID・パスワード方式を令和9年分(2027年分)の確定申告から利用できなくする予定と案内しています。[参照:e-Tax利用の簡便化]
したがって将来の申告方法を考える場合、「これまでID・パスワードだけで申告していた」という家庭では制度変更を確認しておく必要があります。
一方、実物のマイナンバーカードを読み取るマイナンバーカード方式と、スマートフォンのマイナンバーカードを利用する方法は、どちらも本人確認を電子的に行うための選択肢として理解しておくとよいでしょう。
高齢者の確定申告では「スマホを買う」前に現在の申告方法を確認する
90代など高齢の家族の確定申告を支援している場合、新制度のニュースを見てすぐ本人専用スマートフォンを購入する必要はありません。まず前年の確定申告で「どの方法でe-Taxへ送信したのか」を確認しましょう。
例えば、家族のスマートフォンを使いながら、申告者本人の実物のマイナンバーカードを読み取って申告していたのであれば、「スマートフォンのマイナンバーカード」を新たに利用する必要があるかを改めて検討できます。
反対にID・パスワード方式を利用していた場合は、将来的な廃止予定があります。現在の申告方式が分からない場合には、申告書の控えやe-Taxの利用状況を確認し、必要に応じてe-Tax・作成コーナーヘルプデスクや税務署へ問い合わせると安心です。
スマホのマイナンバーカードを家族共用端末へ安易に登録しない
スマートフォンのマイナンバーカードは、その端末を本人確認や電子署名に利用できるようにする重要な機能です。そのため、単なるアプリのアカウント追加程度に考えるべきではありません。
特に家族が日常的に使用しているスマートフォンへ、高齢の親のスマートフォン用電子証明書等を安易に設定することは避け、利用条件や管理方法を公式案内で確認する必要があります。端末を売却・修理したり、紛失・盗難に遭ったりした場合には、電子証明書の失効や一時利用停止が必要になるケースもあります。[参照:デジタル庁 スマートフォン利用終了時の注意]
年1回の確定申告を家族が補助する目的なら、「スマホにカード機能を搭載すること」が本当に必要なのか、従来の実物カード読み取り方式で十分なのかを先に確認するのが合理的です。
まとめ:スマホへのマイナンバーカード搭載と確定申告を分けて考えよう
スマートフォンのマイナンバーカードは、実物のマイナンバーカードが持つ機能を対応スマートフォンに追加し、本人確認や電子署名などをスマホで行いやすくする仕組みです。e-Taxにも対応しており、搭載済みなら実物のカードを毎回読み取らずに手続きを進められる場合があります。
しかし、スマートフォンのマイナンバーカードが登場したからといって、確定申告のためにすべての人が本人専用スマートフォンを新たに用意しなければならないわけではありません。2026年8月時点では、実物のマイナンバーカードとカード読取対応スマートフォンを利用するマイナンバーカード方式も国税庁から案内されています。
家族が高齢の親の申告操作を手伝っている場合は、「スマートフォンの契約名義」「操作している人」「申告者本人」「電子署名に使用するマイナンバーカード・電子証明書」を分けて考えることがポイントです。申告者本人による手続きが難しい事情がある場合や、家族による操作補助と代理手続きの境界が分からない場合には、自己判断で本人確認情報を共有するのではなく、税務署や国税庁のe-Tax窓口へ確認してから進めると安全です。
制度や対応サービスは今後も更新される可能性があるため、実際に申告する年には、[参照:国税庁 e-Tax]および[参照:デジタル庁 スマートフォンのマイナンバーカード]の最新情報を確認することをおすすめします。


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