災害時の避難用の履物については、現在では「動きやすいスニーカーが適している」という考え方が広く知られています。しかし、阪神・淡路大震災の際には「革靴のほうが良い」という趣旨の証言もあり、なぜ考え方が変化したのか疑問に感じる人もいます。この記事では、災害時の履物に対する考え方がどのように変化してきたのか、その背景や理由を解説します。
阪神・淡路大震災当時に革靴が注目された理由
1995年に発生した阪神・淡路大震災では、多くの建物が倒壊し、道路にはガラス片、瓦、コンクリート片など大量の危険物が散乱しました。
当時、避難や救助活動を経験した人の中には、底が薄い靴やサンダルでは足を守れないため、革靴や底のしっかりした靴が役立ったという証言があります。
特に都市部の災害では、地面に何が落ちているか分からない状況になるため、「足を保護すること」が重要視されました。
災害時にスニーカーが推奨されるようになった背景
その後、防災意識の高まりとともに、避難時の履物としてスニーカーが推奨される機会が増えていきました。
理由の一つは、災害直後には長距離を歩いて避難したり、物資を運んだりする必要がある場合が多いためです。革靴は足を守る面では優れていますが、長時間歩行や走る動作には向いていない場合があります。
スニーカーは、足を保護する性能と歩きやすさのバランスが良く、一般家庭で準備しやすいことから、防災用品として広く認識されるようになりました。
「革靴からスニーカーへ」という単純な変化ではない
災害時の履物に関する考え方は、「革靴が間違いでスニーカーが正しい」というように完全に入れ替わったわけではありません。
重要なのは、その場の状況に合った靴を選ぶことです。例えば、倒壊した建物周辺や瓦礫の多い場所では、靴底が厚く足を守れる靴が適しています。
一方で、避難所まで長距離を移動する場合や、地震後の生活で歩き回る必要がある場合には、クッション性や動きやすさのあるスニーカーが有利になります。
1995年以降に防災知識が変化した理由
阪神・淡路大震災以降、日本では災害への備えについて多くの研究や啓発活動が進みました。その中で、避難行動そのものについても見直しが行われました。
以前は「危険物から足を守る」という点が強調されていましたが、その後は「安全に避難する」「長時間移動できる」「日常的に備えられる」という複数の観点から考えられるようになりました。
また、東日本大震災など大規模災害の経験から、避難生活では徒歩移動が長時間続く可能性があることも広く知られるようになりました。
現在の防災でおすすめされる靴の条件
現在の防災対策では、単純なスニーカーというよりも、「災害時に足を守れて歩きやすい靴」が重要とされています。
具体的には、滑りにくい靴底、足を覆う形状、ある程度の耐久性がある靴が望ましいとされています。可能であれば、防災用として普段から履き慣れた靴を準備しておくことが大切です。
例えば、玄関に歩きやすいスニーカーを置いておく、非常持出袋に軽量な靴を入れておくなど、すぐ使える状態にしておくことで、災害時の安全性を高められます。
まとめ
阪神・淡路大震災の時代に革靴が評価された背景には、瓦礫やガラス片から足を守る必要性がありました。
その後、災害時には長距離移動や避難生活も考慮されるようになり、安全性と歩きやすさを兼ね備えたスニーカーが広く推奨されるようになりました。
現在の防災において大切なのは、「革靴かスニーカーか」という二択ではなく、災害の状況に応じて足を守り、安全に移動できる靴を準備しておくことです。


コメント