タイの首都バンコクは、日本と比べると日常的に地震を体感する機会が少ない都市です。しかし、これは「バンコクでは地震の心配がない」という意味ではありません。バンコクの近くを震源とする大地震が頻発しているわけではない一方、タイ北部や隣国ミャンマーなどで発生した大規模な地震によって、遠く離れたバンコクでも揺れを感じることがあります。
実際、2025年3月28日にミャンマーで発生した大規模地震では、バンコクでも高層建築物を中心に強い揺れが体感されました。この出来事によって、バンコクの地震リスクを考える場合には、単純な「市内で地震が多いか少ないか」だけでは判断できないことが改めて注目されました。
この記事では、バンコクではなぜ地震が比較的少ないといわれるのか、遠方の地震でも揺れる理由、2025年のミャンマー地震では何が起きたのか、旅行や滞在時にどの程度備えておけばよいのかを整理します。
バンコクは日本と比較すると地震の少ない地域
日本で暮らしている人の感覚からすると、バンコクは地震を体感する頻度がかなり低い地域といえます。日本列島は複数のプレートが関係する地震活動の活発な地域に位置しているため、大小さまざまな地震が発生します。
一方、タイでは地震活動に地域差があります。国内では北部・西部などに活断層が分布しており、地震そのものが発生しない国ではありませんが、バンコクはタイ北部などと比べれば震源となる地震活動が目立つ地域ではありません。
したがって、「バンコクは地震が比較的少ない」という理解はおおむね妥当ですが、「地震が起きない都市」と考えるのは適切ではありません。タイの地震情報や地質災害については、タイ気象局やタイ鉱物資源局が観測・情報提供を行っています。
バンコク自身が震源でなくても揺れることがある
地震について考えるときに重要なのが、「地震が発生する場所」と「揺れを感じる場所」は同じとは限らないという点です。大きな地震では地震波が遠くまで伝わるため、震源から数百km離れた都市でも揺れを感じる場合があります。
バンコクの場合、特に注目される震源地域の一つが隣国ミャンマーです。ミャンマーには大規模な断層帯があり、過去にも大きな地震が発生しています。
つまり「バンコク周辺では大地震が頻発していない」ことと、「バンコクが大きく揺れる可能性がない」ことは別問題です。遠方で非常に規模の大きな地震が発生すれば、バンコクまで揺れが届く可能性があります。
2025年3月のミャンマー地震ではバンコクも大きく揺れた
その代表的な事例となったのが、2025年3月28日にミャンマーで発生した大規模地震です。タイ気象局の地震観測部門による記録では、タイ時間13時20分55秒にミャンマーを震源とするマグニチュード8.2、深さ10kmの地震が記録されています。[参照:タイ気象局 地震観測部門]
震源はバンコクではありませんでしたが、タイ気象局にはバンコクを含む広い範囲から揺れの報告が寄せられました。バンコクの高層建築物では建物が大きく揺れたという報告も記録されています。
さらに同日13時32分には、同じくミャンマーでマグニチュード7.1の地震も記録されています。[参照:タイ気象局 地震観測部門] この事例は、バンコクの地震リスクを考えるうえで「遠方の巨大地震」という要素を無視できないことを示しています。
なぜ遠いミャンマーの地震でバンコクが揺れるのか
地震が発生すると、震源から地震波が周囲へ伝わります。地震の規模が大きければ、その影響が非常に広い範囲へ及ぶことがあります。そのため震源から離れていることだけで安全性を判断することはできません。
さらにバンコクでは、地盤条件も重要なポイントとして指摘されています。バンコク周辺には軟弱な堆積層が広がっており、特定の周期の地震動が増幅されたり、揺れが長く感じられたりする可能性があります。
特に高層建築物では、短く細かい揺れよりも長周期のゆっくりとした揺れの影響を受けやすい場合があります。そのため地上や低層建築物ではそれほど強く感じなくても、高層階では大きくゆっくり揺れているように感じることがあります。
「地震が少ない」と「地震リスクが低い」は少し意味が違う
バンコクについて理解するときには、地震の「発生頻度」と「被害リスク」を分けて考えると分かりやすくなります。
| ポイント | バンコクの特徴 |
|---|---|
| 日常的な地震の体感 | 日本と比較すると少ない |
| バンコク周辺を震源とする大地震 | 頻発する地域ではない |
| 遠方の大地震による揺れ | 発生する可能性がある |
| 高層ビルでの揺れ | 遠方の大地震でも大きく感じる場合がある |
| 地震対策 | 「地震が少ないから不要」とは考えない方がよい |
例えば、1年間に体感する地震がほとんどなかったとしても、数十年という長い期間で見れば大規模な遠地地震の影響を受ける可能性があります。頻度が低い災害ほど、発生したときに「想定していなかった」と感じやすい点にも注意が必要です。
バンコクは「地震が頻発する都市ではないが、強い揺れに見舞われる可能性はある都市」と理解するのが現実に近いでしょう。
タイ国内でも地震リスクには地域差がある
「タイは地震が少ない」と国全体を一括りにすることも適切ではありません。タイ国内には活断層が存在し、特に北部や西部では地震への注意が必要な地域があります。
例えばチェンマイ、チェンライ、メーホンソーンなどを含むタイ北部は、バンコクとは地質学的な条件が異なります。またミャンマーとの国境に近い地域では、ミャンマー側で発生した地震の影響も受けやすくなります。
タイ鉱物資源局は地震を含む地質災害について情報提供や監視を行っています。長期滞在や地方への旅行を予定している場合は、タイ全体を同じリスクとして見るのではなく、滞在する地域ごとに考えることが大切です。[参照:タイ鉱物資源局 地質災害情報]
バンコクでは高層ビルにいるときの行動を知っておきたい
バンコクにはホテル、コンドミニアム、オフィス、商業施設など多数の高層建築物があります。旅行者の場合も、高層ホテルに宿泊する可能性があります。
強い揺れを感じた場合は、慌ててエレベーターへ向かわず、まず落下物や転倒物から身を守ることが基本です。建物から避難する必要が生じた場合には、館内放送や施設スタッフ、公的機関の指示を確認します。
特に地震直後はエレベーターが停止したり、点検のため使用できなくなったりする可能性があります。ホテルへチェックインした際に非常階段の位置を確認しておけば、地震だけでなく火災など別の緊急事態にも役立ちます。
旅行者ができる地震対策はそれほど難しくない
バンコク旅行のために、日本国内の大規模防災備蓄と同じものをすべて持参する必要はありません。しかし、最低限の準備をしておけば、地震だけでなく停電や交通障害などにも対応しやすくなります。
例えばスマートフォン、モバイルバッテリー、少額の現金、飲料水、常用薬などを確保しておくと便利です。またパスポートなど重要書類の情報を安全な方法で控えておくことも海外旅行では重要です。
宿泊施設では非常口と階段の場所を確認し、緊急時に利用できる連絡手段も把握しておきましょう。地震発生後はSNS上に未確認情報が広がる場合があるため、タイ気象局など公的機関が発表する情報を優先することも大切です。
日本人が「揺れない国」と思い込みやすい理由
日本では比較的小規模な地震も日常的に報道され、スマートフォンの緊急地震速報やテレビの地震情報を見る機会も多くあります。そのため海外で長期間地震を経験しないと、「この国には地震がない」と感じやすくなります。
しかし、地震活動は国境で区切られているわけではありません。タイ国内の断層だけでなく、ミャンマーなど周辺地域の地震活動も考える必要があります。
2025年のミャンマー地震は、その違いを理解しやすい実例です。バンコクから遠く離れた場所で発生した地震であっても、規模や地盤、建築物の特性などの条件が重なれば、都市部で明確な揺れを感じることがあります。
バンコク旅行を地震が理由で過度に心配する必要はある?
地震の発生時期や場所を正確に予測することはできません。そのため「旅行期間中は絶対に地震が起こらない」と保証することも、「近いうちに大きな地震が起きる」と断定することもできません。
一方、バンコクは日本のように頻繁に地震を体感する地域ではありません。その意味では、旅行中に地震が発生することを過度に恐れる必要はありませんが、海外だから地震対策は一切必要ないと考えるのも適切ではありません。
旅行者にとって現実的なのは、地震の頻度を心配し続けることではなく、ホテルの避難経路を確認する、スマートフォンを充電しておく、公的な災害情報を確認できるようにするといった基本的な準備です。
まとめ:バンコクは地震が少ないが「揺れない都市」ではない
バンコクは、日本と比較すれば地震を体感する頻度が低く、市内周辺を震源とする大地震が頻発する地域でもありません。そのため一般的な意味では「地震が比較的少ない都市」と表現できます。
しかし、地震が少ないことと、大きく揺れる可能性がないことは同じではありません。ミャンマーなど周辺地域で大規模な地震が発生すると、遠く離れたバンコクまで地震波が到達することがあります。
2025年3月28日のミャンマー地震では、タイ気象局がマグニチュード8.2の地震を記録し、バンコクからも高層建築物の揺れなど多数の体感報告が寄せられました。これはバンコクの地震リスクを理解するうえで重要な実例です。[参照:タイ気象局]
「バンコクでは地震は比較的少ない。ただし、タイ国内や周辺国で発生する大地震によって強く揺れることはある」という理解が適切です。旅行や滞在を必要以上に怖がる必要はありませんが、高層ホテルなどを利用する際には非常階段の位置を確認するなど、基本的な防災意識を持っておくと安心です。

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