2026年8月26日現在、台風シーズンはまだ続きます。「この先、日本列島のどこに台風が上陸しやすいのか」「しかも暴風域を伴ったまま上陸する可能性が高い地域はどこなのか」は気になるところです。
ただし、数週間から数か月先に発生する個々の台風について、上陸する都道府県や上陸時の勢力まで予測することはできません。そのため、ここでは特定の台風について「○県に来る」と予報するのではなく、気象庁の1951年以降の上陸統計、一般的な台風の進路、日本列島の地理をもとに、今後の台風シーズンに暴風域を伴う台風が上陸する場合の地域的な傾向を「本命・対抗・大穴」という形で整理します。
なお、2026年8月26日時点では強い台風18号が沖縄・奄美に影響を及ぼしています。将来発生する台風の進路はその時々の太平洋高気圧や偏西風などによって大きく変わるため、この記事のグループ分けは「予報」ではなく、あくまで過去の統計を理解するための目安です。
まず知っておきたい「上陸」と「暴風域」の意味
台風について考える際に重要なのが、「接近」「通過」「上陸」を区別することです。気象庁では、台風の中心が北海道、本州、四国、九州の海岸線に達した場合を「日本に上陸した台風」としています。小さな島や半島を横切って短時間で再び海上へ出る場合などは「通過」と扱われます。[参照]
したがって、台風の影響を非常に受けやすい沖縄県であっても、沖縄本島などを台風の中心が通過したことを、気象庁の全国統計上の「日本上陸」とは数えません。「台風がよく来る場所」と「上陸数が多い都道府県」は必ずしも同じランキングにならない点に注意が必要です。
また「暴風域」は、平均風速25m/s以上の風が吹いている、または吹く可能性がある範囲です。台風として上陸しても暴風域をすでに失っているケースがある一方、中心が上陸しなくても地域が暴風域に入ることがあります。そのため、「台風上陸」と「暴風域に入ること」も別の指標です。
過去の上陸実績なら「本命」は鹿児島・高知・和歌山
過去の統計を競馬風にグループ分けするなら、まず「本命」に置きやすいのは鹿児島県、高知県、和歌山県です。気象庁の1951年以降の都道府県別上陸数では、2026年第4号までの集計で鹿児島県45回、高知県26回、和歌山県25回となっており、上位3県を形成しています。[参照]
鹿児島県は日本列島の南西側に位置し、南海上から北上する台風の進路に入りやすい地域です。九州に台風が向かうケースでは、鹿児島県付近から上陸するパターンが過去に数多くありました。
高知県と和歌山県も太平洋に大きく面しています。台風が四国・紀伊半島方向へ北上するケースでは上陸地点になりやすく、歴史的な上陸数にもその特徴が明確に表れています。
| グループ | 地域の目安 | 考え方 |
|---|---|---|
| 本命 | 鹿児島・高知・和歌山 | 気象庁の過去の上陸数が特に多い |
| 対抗 | 静岡・長崎・宮崎・愛知 | 過去の上陸実績が多く、太平洋・東シナ海からの進路に入り得る |
| 注意枠 | 千葉・熊本・北海道・徳島など | 上位県ほどではないが、上陸実績を無視できない |
| 大穴 | 上陸統計の少ない日本海側など | 直接上陸は相対的に少ないが、暴風・大雨の危険が小さいという意味ではない |
この表は2026年の特定地域への上陸確率を示したものではありません。あくまで過去の上陸実績を分かりやすくグループ化したものです。
「対抗」は静岡・長崎・宮崎・愛知
本命グループに続くのが、静岡県、長崎県、宮崎県、愛知県です。気象庁の都道府県別上陸数では、静岡県22回、長崎県18回、宮崎県14回、愛知県12回となっています。[参照]
特に静岡県は、台風が本州南岸へ接近して北東方向へ進む際の上陸地点になることがあります。勢力を保った台風が紀伊半島から東海地方へ向かう場合だけでなく、南海上から直接接近するケースにも注意が必要です。
一方、長崎・宮崎は同じ九州でも位置関係が大きく異なります。東シナ海側を北上する進路なら長崎方面、九州南東側から北上する進路なら宮崎方面のリスクが高まります。したがって「九州だから一括り」ではなく、台風の進路によって危険度が変化します。
千葉県は「大穴」ではない|過去の上陸数は全国8位
関東地方について意外に見落とされやすいのが千葉県です。気象庁の統計では1951年から2026年第4号までに千葉県への上陸は9回あり、都道府県別では全国8位です。つまり、過去の上陸実績だけで分類するなら「滅多に上陸しない大穴」とするのは適切ではありません。[参照]
千葉県は房総半島が太平洋側へ大きく突き出しているため、本州南方から北上・北東進する台風のコースによっては上陸地点になります。例えば2005年の台風11号は、強い勢力で三浦半島を通過したあと、千葉市付近に上陸しました。[参照]
さらに、上陸地点にならなくても房総半島が台風の暴風域に入る可能性があります。「関東だから台風はかなり弱くなってから来る」と決めつけることはできず、進路と海面水温、台風自体の勢力によって状況は大きく変わります。
熊本県も「大穴」とまではいえない|上陸数は全国9位
熊本県も扱いに注意が必要です。熊本県は鹿児島・高知などと比べれば上陸数は少ないものの、気象庁の統計では1951年から2026年第4号までに8回の上陸があり、全国9位です。したがって、熊本を「ほぼ上陸しない地域」と考えるのも正確ではありません。[参照]
熊本県の場合、東シナ海や九州西側から接近する台風の進路によって直接上陸するケースがあります。また、鹿児島県や長崎県など別の場所に上陸した台風が九州を縦断・横断し、熊本県に暴風や大雨をもたらすケースもあります。
ここで重要なのは、熊本8回、千葉9回という差から、2026年のどちらに上陸しやすいかを判断することはできないという点です。長期間の累計上陸数は地域的な傾向を理解する資料にはなりますが、次の1個の台風の進路を予測する材料にはなりません。
「暴風域を伴った状態で上陸」まで条件を絞ると予測はさらに難しい
今回のテーマで特に難しいのが、「単なる上陸」ではなく暴風域を伴った状態での上陸という条件です。台風は北上するにつれて海面水温、周囲の風、乾燥した空気、陸地との相互作用などの影響を受け、発達することもあれば急速に衰弱することもあります。
例えば同じ鹿児島県へ向かうコースでも、中心付近の最大風速が強いまま接近するケースと、接近前に勢力が低下して暴風域がなくなるケースがあります。進路だけを見ても、上陸時に暴風域が存在するかどうかまでは決まりません。
実際の台風が発生した後は、気象庁が予報円だけでなく暴風警戒域や地域ごとの「暴風域に入る確率」を発表します。[参照] この情報を使うほうが、「過去に上陸が多い県」という統計より、目前の防災判断にははるかに有効です。
2026年8月26日時点で今後の地域を断定できない理由
台風の進路を左右する代表的な要素が太平洋高気圧です。高気圧の張り出しが強ければ西寄りへ進みやすくなることがあり、張り出し方や弱まる位置によっては日本の南で北寄りに進路を変えることがあります。さらに中緯度まで北上すると偏西風などの影響も重要になります。
そのため、8月26日時点で「9月に発生する台風は熊本が本命」「次は千葉が大穴」などと都道府県単位で予測する科学的根拠はありません。まだ発生していない台風なら、発生位置、発達度、太平洋高気圧の配置、偏西風など肝心の条件自体が確定していないからです。
一方で、台風が実際に発生すれば予報の精度は段階的に高まります。気象庁の予報円は、予報した時刻に台風の中心が70%の確率で入ると予想される範囲です。中心が必ず予報円の中央を通るわけではないため、進路図を見る際にも注意が必要です。
本命・対抗・大穴より重要なのは「自分の地域が暴風域に入る確率」
台風の話題では上陸地点に注目が集まりやすいものの、防災という意味では「どこに上陸するか」だけを追うのはおすすめできません。台風は巨大な気象現象なので、中心が隣県へ上陸しても暴風、大雨、高潮、高波などの影響を受ける可能性があります。
特に台風の進行方向に対して右側では、台風自身の風と移動速度が重なって風が強くなることがあります。上陸地点から離れているから安全とは限りません。
実際の台風接近時には、気象庁の台風情報、暴風域に入る確率、警報・注意報、キキクルなどを組み合わせて確認することが重要です。過去のランキングは台風の地域特性を知る資料、最新の気象情報は実際に避難や備えを判断する資料、と使い分けると分かりやすくなります。
まとめ|統計上は鹿児島が突出、千葉・熊本も決して「大穴」ではない
1951年以降の気象庁の上陸統計を「本命・対抗・大穴」の感覚で整理するなら、鹿児島・高知・和歌山が本命級、静岡・長崎・宮崎・愛知が対抗級と考えると、過去の実績には比較的忠実です。
そして注目したいのが千葉県と熊本県です。2026年第4号までの累計で千葉県は9回で全国8位、熊本県は8回で全国9位となっており、少なくとも過去の上陸実績から両県を単純な「大穴」扱いするのは適切ではありません。
ただし、これは2026年8月26日以降に発生する台風の予報ではありません。将来の台風について「暴風域を伴って○県へ上陸する」と現時点で順位付けできるだけの科学的根拠はなく、実際の危険度は台風発生後の最新予報で判断する必要があります。台風が発生したら「本命の県かどうか」ではなく、自分の地域の暴風域に入る確率や警報、雨・高潮などの情報を確認することが最も重要です。


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