南海トラフ地震は15年以内に何%で起きる?最新の発生確率と「30年以内」の正しい読み方

地震

南海トラフ地震について、「30年以内の発生確率は高いと聞くけれど、15年以内なら何%なのか」と気になる人は少なくありません。結論からいうと、国の地震調査研究推進本部が一般向けに示している代表的な数値は「今後30年以内」の発生確率であり、単純に半分にして15年以内の確率を求めることはできません。

2025年に南海トラフ地震の長期評価が一部改訂され、M8~M9クラスの地震について、今後30年以内の発生確率は計算方法によって「60~90%程度以上」または「20~50%」と評価されています。どちらも地震本部の分類では最も高い「Ⅲランク(高い)」です。防災上、具体的な確率を示す必要がある場合には、高い方の「60~90%程度以上」を念頭に行動することが推奨されています。[参照]

この記事では、南海トラフ地震が15年以内に起こる可能性をどう考えればよいのか、なぜ30年確率を単純計算できないのか、そして確率とどう付き合って防災につなげればよいのかを整理します。

南海トラフ地震の最新の発生確率はどうなっている?

地震調査研究推進本部では、南海トラフで発生するM8~M9クラスの地震について、発生確率を「高い」と評価しています。現在示されている今後30年以内の発生確率は、すべり量依存BPTモデルでは60~90%程度以上、BPTモデルでは20~50%です。

数字が2種類存在するのは、計算方法が異なるためです。「すべり量依存BPTモデル」は過去の地震発生間隔に加えて、高知県室津港で観測された隆起量なども利用します。一方のBPTモデルは、主に過去の発生間隔を用いて計算します。地震本部は、両方に科学的な根拠があり、現時点では一方だけが正しいとして優劣をつけられないと説明しています。[参照]

ただし、どちらの計算結果を使っても、海溝型地震の発生確率ランクでは最も高い「Ⅲランク」に該当します。つまり、細かな数字に幅はあっても、南海トラフ地震の発生可能性が高く、防災上無視できないという評価そのものは共通しています。

では「15年以内」なら何%なのか

ここで注意したいのが、「30年以内が60~90%程度以上なら、15年以内は30~45%程度ではないか」という計算です。これは正しい計算方法ではありません。

地震の長期評価では、一定期間に毎年同じ確率で地震が発生するという単純な仕組みだけで計算しているわけではありません。南海トラフ地震については、過去の地震の発生間隔や前回の地震から経過した時間、地殻変動に関するデータなどを利用した確率モデルが使われています。

したがって、30年確率を2で割れば15年確率になるわけではなく、「15年以内は○%」と公式の30年確率から単純換算するのは適切ではありません。15年という期間について考える場合も、正確な年数を当てることより、すでに発生可能性が高い段階にあるという長期評価を理解するほうが重要です。

「30年以内60~90%程度以上」はどういう意味?

「30年以内」という表現は、「30年後に地震が来る」という意味ではありません。対象期間の途中で発生する可能性を含んだ確率なので、明日発生する可能性も、数年後に発生する可能性も含まれています。

気象庁も南海トラフ地震について「いつ起きてもおかしくない」として日頃から備えるよう呼びかけています。また、南海トラフ地震の発生時期、場所、規模を高い精度で予測することは現在の科学では困難だと説明しています。[参照]

つまり、「15年以内ならまだ大丈夫」「30年間の後半になってから危険になる」という読み方はできません。長期的には発生確率が高い一方、具体的に何年後なのかは分からないというのが現在の科学的な位置づけです。

なぜ南海トラフ地震は発生可能性が高いとされているのか

南海トラフでは、フィリピン海プレートが陸側のプレートの下へ沈み込んでいます。プレート境界にひずみが蓄積し、それが解放されることで過去にも大規模な地震が繰り返し発生してきました。

地震本部は南海トラフ全体について、大局的には100~200年程度で繰り返し大地震が発生してきたものとして長期評価を行っています。現在の評価に使われるモデルでは、平均発生間隔について約96.5年または約117.4年という値も示されています。

直近では1944年の昭和東南海地震、1946年の昭和南海地震が発生しています。2つの巨大地震が約2年の時間差で起きたことからも分かるように、南海トラフ地震は必ずしも想定震源域全体が一度に動くとは限りません。

「15年以内に来るか」を予知することはできない

過去の地震周期を見れば「そろそろではないか」と考えたくなりますが、周期から発生年を特定することはできません。過去の南海トラフ地震にも発生間隔のばらつきがあり、同じ間隔で規則正しく発生しているわけではないためです。

気象庁は、南海トラフ地震について発生時期・場所・規模を確度高く予測することは困難だとしています。そのため、「2030年代に必ず来る」「あと10年は来ない」といった断定には科学的根拠がありません。[参照]

また、「南海トラフ地震臨時情報」が事前に必ず発表されるわけでもありません。異常な現象が観測されないまま巨大地震が突発的に発生する可能性もあるため、臨時情報が出てから準備すればよいという考え方も避ける必要があります。

発生確率は「当たる・外れる」の数字ではない

地震の発生確率を見る際には、天気予報の降水確率と同じ感覚で受け取らないことも大切です。例えば30年以内に高い確率が示されていて、翌年に地震が起きなかったからといって、その予測が外れたことにはなりません。

反対に、確率が100%ではないから安全という意味でもありません。地震本部は海溝型地震について、30年以内の発生確率が26%以上なら最も高い「Ⅲランク」としています。南海トラフ地震はいずれの計算方法でもこのランクです。

確率の役割は「発生日を当てること」ではなく、長期的な危険性を評価して防災対策の判断材料にすることです。特に南海トラフ地震のように被害が広域に及ぶ可能性がある地震では、数値の細かな違いよりも、発生確率が高い地域で暮らしているという認識が重要になります。

15年以内という期間なら今から何を準備すべき?

「15年以内に起きるか」を考える最大の意味は、予想を当てることではなく、その期間に自分や家族が被災する可能性を想定して準備することにあります。家具の固定、非常用の水・食料・携帯トイレの備蓄、モバイルバッテリー、避難場所・避難経路の確認など、今日からできる対策があります。

特に津波浸水想定区域に住んでいる場合は、備蓄以上に「揺れたらどこへ逃げるか」を確認することが重要です。自宅、勤務先、学校など生活する場所ごとに自治体のハザードマップを確認し、徒歩で避難できる高台や津波避難ビルまでの経路を実際に歩いて確認しておくと実践的です。

また、備蓄は一度購入して終わりではありません。普段食べる食品を少し多めに購入し、古いものから消費して買い足すローリングストックなら、長期間にわたって無理なく備えを維持できます。

まとめ|15年以内の正確な確率より「いつ起きても対応できる準備」が重要

南海トラフで発生するM8~M9クラスの地震について、地震調査研究推進本部は今後30年以内の発生確率を、計算方法により「60~90%程度以上」または「20~50%」と評価しています。どちらも最も高い「Ⅲランク(高い)」で、防災上具体的な数値が必要な場合には「60~90%程度以上」を念頭に行動することが推奨されています。

一方、「15年なら30年確率の半分」という計算はできません。現在の科学では南海トラフ地震が何年後に起こるかを高い精度で予測することもできないため、15年以内の発生を一つの数字で断定するのは適切ではありません。

重要なのは「15年以内に何%か」という数字そのものより、南海トラフ地震の発生確率はすでに高く、明日発生してもおかしくないという前提で備えることです。発生年を予想して待つのではなく、家具固定、備蓄、ハザードマップ、避難経路、家族との連絡方法などを平常時に確認しておくことが、現時点でできる最も確実な対策です。

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