マイナンバーカードを健康保険証として使う「マイナ保険証」では、高額な医療費がかかるときに、従来のように紙の限度額適用認定証をあらかじめ申請・提示しなくても、医療機関側がオンライン資格確認で限度額情報を確認できる仕組みがあります。
以前の顔認証付きカードリーダーでは、受付の最後に「高額療養費制度を利用する方はこちら」「限度額情報を提供しますか」といった画面が表示されていました。しかし、2024年10月7日から限度額適用認定証情報の提供同意画面は省略され、患者が個別に「限度額を提供する」を選ばなくてもよい運用へ変更されています。[参照]
そのため、現在カードリーダーで「限度額申請」という項目が表示されなくても、それだけで手続きができていないとは限りません。また、画面にある「全て同意する」は主に過去の診療・薬剤・健診情報を医療機関へ提供することへの同意であり、従来の限度額情報提供画面とは意味が少し異なります。
- 現在は「限度額情報を提供しますか」の画面が省略されている
- 「全て同意する」は限度額申請そのものではない
- では限度額適用は何もしなくても使える?
- 高額療養費制度と限度額適用は少し意味が違う
- 以前のカードリーダーでは確かに限度額の画面があった
- 2025年からは医療情報の同意画面もさらに変わっている
- カードリーダーの「全て同意する」で同意している内容
- 本当に窓口負担が限度額になるか不安なら会計前に確認する
- すべての医療費が限度額の対象になるわけではない
- 月をまたぐ入院では自己負担額の計算に注意
- マイナ保険証を使っても例外的に別手続きが必要なケースがある
- カードリーダーで限度額項目が出なくても慌てなくてよい
- まとめ:現在は限度額の専用画面が出なくても正常
現在は「限度額情報を提供しますか」の画面が省略されている
厚生労働省は2024年10月7日から、顔認証付きカードリーダーの操作画面を改善し、限度額適用認定証情報の提供同意画面を省略しました。以前は受付完了後に「高額療養費制度を利用する方はこちら」を選び、その後「限度額情報を提供しますか」と確認する画面がありました。[参照]
見直し後は、この限度額情報についての個別同意画面そのものが表示されません。厚生労働省の資料でも「表示を省略し、同意不要に」と明記されています。[参照]
したがって、以前使ったときには限度額の項目があったのに、最近病院でマイナンバーカードを読み取ったら表示されなかった、という変化は現在の仕様と一致します。
「全て同意する」は限度額申請そのものではない
現在のカードリーダーに表示される「全て同意する」は、主に過去の医療情報を医師や薬剤師へ提供することへの同意です。
厚生労働省の説明では、「全て同意する」を選ぶと、手術歴、診療・薬剤情報、薬の情報、健診情報などについてまとめて提供同意を行う仕組みになっています。[参照]
つまり、「全て同意する」を押したから限度額適用を申請した、という仕組みではありません。限度額情報については2024年10月以降、そもそも別画面で同意を取る方式が廃止されています。
では限度額適用は何もしなくても使える?
オンライン資格確認に対応した医療機関でマイナ保険証を利用すると、医療機関側は資格情報とあわせて、制度上必要な限度額情報を確認できる仕組みになっています。そのため、原則として従来の紙の「限度額適用認定証」を事前に取得して窓口へ提示する必要がなくなります。
これは一般に「限度額適用認定証を申請する」というより、マイナ保険証を使うことでオンライン資格確認システムから限度額区分を確認してもらう仕組みと理解すると分かりやすいでしょう。
従来のように患者がカードリーダー上で毎回「限度額制度を利用する」を選ぶ操作がなくなったため、現在は画面だけを見て「申請したかどうか」を確認することはできません。
高額療養費制度と限度額適用は少し意味が違う
「限度額申請」という言葉はよく使われますが、制度としては「高額療養費制度」と「窓口負担を自己負担限度額までにする仕組み」を分けると理解しやすくなります。
高額療養費制度は、1か月の医療費の自己負担が年齢や所得に応じた上限額を超えた場合、超過分が支給される制度です。一方、限度額適用認定証などを利用すると、高額な金額をいったん窓口で支払って後から払い戻してもらうのではなく、最初から窓口負担を限度額までに抑えられます。
マイナ保険証では、オンライン資格確認によってこの限度額情報を医療機関が確認できるため、紙の認定証を持参する手間を減らせます。
以前のカードリーダーでは確かに限度額の画面があった
以前の操作方法を覚えている人の記憶は間違いではありません。厚生労働省が公開している旧画面では、本人確認と医療情報の同意を終えた後、「高額療養費制度を利用する方はこちら」というボタンが表示されていました。
それを選択すると、「限度額情報を提供しますか」という画面が表示され、「提供する」「提供しない」を選ぶ方式でした。[参照]
現在その画面が出ないのは、カードリーダーや病院がおかしいからではなく、国の仕様変更によるものです。
2025年からは医療情報の同意画面もさらに変わっている
顔認証付きカードリーダーの画面はその後も更新されています。2025年2月1日からは、同じ医療機関で前回選択した医療情報提供の同意状況を引き継げる仕組みも導入されました。[参照]
そのため、病院やカードリーダーのメーカーによって、「全て同意する」「個別に同意する」のほか、「現在の同意状況を引き継ぐ」などの表示が出る場合もあります。
厚生労働省も、画面デザインや表示メッセージは医療機関やカードリーダーのメーカーによって異なると案内しています。つまり、以前通っていた病院と別の病院で表示が違っていても、必ずしも異常ではありません。
カードリーダーの「全て同意する」で同意している内容
| 項目 | 「全て同意する」の対象 |
|---|---|
| 過去の手術情報 | 対象 |
| 診療・薬剤情報 | 対象 |
| 過去のお薬情報 | 対象 |
| 健診情報 | 対象 |
| 限度額適用認定証情報 | 現在は別途同意画面を省略 |
この違いを理解しておくと、「全て同意したのに限度額の表示が出なかった」という疑問を整理できます。
本当に窓口負担が限度額になるか不安なら会計前に確認する
入院や高額な治療を予定していて、窓口負担が高くなりそうな場合には、マイナ保険証を使ったうえで受付または医事課に「オンライン資格確認で限度額区分は確認できていますか」と聞くと確実です。
受付側で限度額情報を正常に取得できていれば、対応する保険診療分については限度額区分を踏まえて会計処理できます。
特に入院の場合は金額が大きくなるため、「マイナ保険証を出したから大丈夫だろう」とだけ考えるより、入院受付や会計窓口で一度確認しておくと安心です。
すべての医療費が限度額の対象になるわけではない
限度額適用の仕組みを利用しても、病院で支払うすべての費用が自己負担限度額の対象になるわけではありません。
例えば、入院時の差額ベッド代、食事代、先進医療などの保険適用外費用は、高額療養費制度の対象外となるものがあります。そのため限度額区分が適用されても、実際の請求額が自己負担限度額ぴったりになるとは限りません。
入院前に費用を確認するときは、保険診療分だけでなく、差額ベッド代や食事代などを分けて確認すると分かりやすいでしょう。
月をまたぐ入院では自己負担額の計算に注意
高額療養費制度は基本的に暦月、つまり1日から月末までを単位として計算されます。そのため、例えば8月30日から9月10日まで入院した場合、8月分と9月分は別々に計算されます。
この仕組みはマイナ保険証を使っても変わりません。限度額情報を医療機関が取得できても、高額療養費の制度そのものの計算単位は従来と同じです。
入院日を自由に選べるケースでは、月またぎによって負担が変わることもあるため、治療上可能なら病院の相談窓口などへ確認してみてもよいでしょう。
マイナ保険証を使っても例外的に別手続きが必要なケースがある
通常の限度額適用認定証であればマイナ保険証によって省略できるケースが増えていますが、すべての状況で完全に手続き不要とは限りません。
例えば保険者側の登録情報が最新になっていない、オンライン資格確認で情報を正常に取得できない、制度上別の認定が必要になるケースなどでは、保険者への確認を求められる場合があります。
また、低所得者向けの食事療養費の減額など、利用状況や申請歴によって扱いを確認したほうがよいものもあります。具体的な負担額が重要な場合は、加入している健康保険組合、協会けんぽ、市区町村国保などへ確認すると確実です。
カードリーダーで限度額項目が出なくても慌てなくてよい
現在の仕組みを簡単に整理すると、以前のような「限度額情報を提供しますか」という専用画面が出ないのが通常です。
そのため、マイナンバーカードを読み取り、本人確認まで正常に完了していれば、「限度額の項目がなかったから限度額制度が使えない」と判断する必要はありません。
逆に、「全て同意する」を選べば限度額申請も一緒に済む、という理解も厳密には違います。限度額情報は同意画面そのものが省略されており、医療情報提供への包括同意とは別の扱いだからです。
まとめ:現在は限度額の専用画面が出なくても正常
マイナ保険証を医療機関の顔認証付きカードリーダーで利用する場合、以前は「高額療養費制度を利用する方はこちら」「限度額情報を提供しますか」という画面が表示されていました。
しかし厚生労働省は2024年10月7日から限度額適用認定証情報の提供同意画面を省略しています。そのため、現在は病院でマイナンバーカードをかざしても、限度額の項目が表示されないことがありますが、それは基本的に現在の仕様です。
また、「全て同意する」は手術歴、診療・薬剤、健診などの医療情報を医師・薬剤師へ提供することへの同意であり、限度額申請そのものを意味するボタンではありません。限度額情報については別画面での同意が不要になっています。
したがって、マイナ保険証を正常に利用できているなら、限度額の専用項目が表示されなくても、それだけで手続き漏れとは考えなくてよいでしょう。ただし入院や高額治療で実際の窓口負担が重要な場合は、受付や会計窓口で「限度額区分をオンラインで確認できていますか」と確認しておくと最も安心です。


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