海外で大きな地震が相次ぐと、「世界的に地震が増えているのではないか」「海外地震の動向も逐一見ておいたほうがよいのではないか」と感じることがあります。特に日本は地震の多い国なので、アリューシャン列島、千島列島、インドネシア、フィリピン、南米などで大地震が起きると、日本への影響まで気になる人は少なくありません。
実際には、世界中の地震を一般の人が一件ずつ追い続ける必要はありません。世界の地震活動はUSGS(米国地質調査所)をはじめ各国の観測機関が常時監視しており、日本への津波影響が考えられる大きな海外地震については気象庁も監視しています。
重要なのは「地震が何件起きたか」を逐一数えることより、マグニチュード、震源の深さ、プレート境界との位置関係、津波発生の有無、日本への影響というポイントを整理して見ることです。また、海外地震が短期間に続いたからといって、そのことだけで日本の巨大地震が近いと判断することもできません。
- 世界の地震は実際に24時間体制で監視されている
- 日本の気象庁も海外の大地震を監視している
- 海外地震を全部「逐一」見る必要がない理由
- 「最近、海外でも地震が多い」と感じるのはなぜ?
- 大地震は年間どのくらい起きている?
- 海外の大地震が起きると日本の大地震も近づくのか
- 「リング・オブ・ファイアで地震が続いている」は予兆になる?
- 海外地震を見るときはマグニチュードだけでは不十分
- 日本にとって特に注視する価値がある海外地震
- 海外地震を観察するなら「点」ではなく「時系列」で見る
- SNSの「世界中で地震が頻発している」投稿には注意
- 一般の人が海外地震を見るなら3つの情報源で十分
- 海外地震を注視する本当の意味は「予言」ではなく防災理解
- まとめ:海外地震は専門機関が常時監視、一般には「大きな変化」を押さえれば十分
世界の地震は実際に24時間体制で監視されている
世界の地震活動について代表的な情報源となっているのが、米国地質調査所USGSのEarthquake Hazards Programです。USGSは世界各地の観測網から地震データを収集し、発生時刻、震源、深さ、マグニチュードなどをほぼリアルタイムで公開しています。[参照]
USGSの「Latest Earthquakes」では、直近24時間、7日間、30日間などの世界の地震を確認できます。またEarthquake Catalogでは、期間・地域・マグニチュードなどを指定して過去の地震も検索できます。[参照][参照]
したがって「世界の地震活動を誰も見ていない」という状況ではありません。研究機関・政府機関は大量の地震データを継続的に蓄積し、通常の活動なのか、群発地震なのか、大きな余震系列なのかなどを分析しています。
日本の気象庁も海外の大地震を監視している
気象庁が監視しているのは日本周辺の地震だけではありません。海外で大規模な地震が発生した場合、日本への津波の可能性を判断する必要があるため、世界の地震活動も監視しています。
気象庁の資料によると、国外でマグニチュード7.0以上、または都市周辺で大きな被害を起こす可能性のある顕著な地震が発生した場合、「遠地地震に関する情報」を発表します。発生時刻、震源、マグニチュード、津波の発生状況、日本への津波影響などが伝えられます。[参照]
例えばチリ、アラスカ、カムチャツカ半島、アリューシャン列島など日本から数千キロ離れた地域の巨大地震でも、津波は太平洋を横断して日本へ到達することがあります。そのため、震源が海外だから日本と無関係とは限りません。
海外地震を全部「逐一」見る必要がない理由
世界では、人が感じない小さな地震まで含めると非常に多くの地震が毎日起こっています。USGSによると、National Earthquake Information Centerは世界で年間およそ2万回、平均すると1日約55回の地震を位置決定しています。[参照]
その一件一件を一般の人が追っても、防災上の有益な情報が比例して増えるわけではありません。例えばマグニチュード4程度の地震が遠い海域で発生したからといって、日本の地震危険度がそのたびに変化するわけではありません。
海外地震を見るなら、すべての地震を均等に見るのではなく、大規模な地震、浅い地震、海底のプレート境界型地震、大きな津波を伴う地震、連続する大規模な地震活動などを優先して確認するほうが意味があります。
「最近、海外でも地震が多い」と感じるのはなぜ?
ニュースやSNSを見ていると、以前より世界各地の地震が増えたように感じることがあります。しかし、USGSは世界の自然地震活動について、短期的な増減は通常の変動の範囲であり、世界的に地震活動が一方向に増加していることを示すものではないと説明しています。[参照]
地震カタログに登録される地震数が増えている大きな理由の一つは、世界の地震計が増え、通信技術や解析能力が向上したためです。以前なら検出されなかった小さな地震も現在は記録できるようになっています。
さらにスマートフォンやSNSの普及によって、南米や南太平洋の地震でも発生から数分で映像・情報を見ることができます。「地震を目にする回数が増えた」ことと「地球上で大地震そのものが急増した」ことは同じではありません。
大地震は年間どのくらい起きている?
USGSは長期記録から、世界では平均的に1年間でマグニチュード7クラスが約15回、マグニチュード8.0以上が約1回、合計約16回の大規模地震が予想されると説明しています。[参照]
ただし毎年きれいに16回になるわけではありません。ある年には20回以上起き、別の年には10回を大きく下回ることがあります。このばらつきは地震活動の自然な変動です。
そのため「今年はM7以上が何回か続いたので異常」「しばらくM8がなかったからエネルギーがたまっている」といった単純な解釈には注意が必要です。地震は世界全体で一つのタンクにエネルギーをため、一定量になったら順番に放出される仕組みではありません。
海外の大地震が起きると日本の大地震も近づくのか
ここは特に誤解されやすいポイントです。海外で大きな地震が発生した直後に日本でも地震が起きると、「世界の地震が連動しているのでは」と考えたくなります。
大地震による地震波や地殻応力の変化が周辺の断層活動へ影響を与えること自体はあります。特に同じ断層帯や近接したプレート境界では、ある大地震が隣接領域の応力状態を変化させることがあります。
しかし、例えば南米でM7の地震が起きたから数日以内に日本でM8が起きる、といった予測方法は確立されていません。USGSも、世界的な地震数の一時的増減は次の巨大地震が迫っていることを示す積極的な兆候ではないとしています。[参照]
「リング・オブ・ファイアで地震が続いている」は予兆になる?
日本、千島列島、アリューシャン列島、北米西岸、中南米、ニュージーランド、インドネシア、フィリピンなどは、太平洋を取り囲むプレート境界に沿って地震・火山活動が活発です。この地域は一般に「環太平洋火山帯」「リング・オブ・ファイア」と呼ばれています。
そのため、これらの地域で相次いで地震が発生すること自体は珍しい現象ではありません。世界の大地震の多くがプレート境界周辺に集中しているため、ニュースだけを並べると「環太平洋全体が急に活発化した」ように見えることがあります。
しかし、何千キロも離れた別々のプレート境界で起きた地震を、根拠なく一つの連鎖として扱うことはできません。個々の震源域、プレート運動、余震分布などを地震学的に評価する必要があります。
海外地震を見るときはマグニチュードだけでは不十分
ニュースでは「M7.5」といったマグニチュードが最も目立ちますが、被害や津波を考える場合は他の条件も重要です。
| 見る項目 | 意味 |
|---|---|
| マグニチュード | 地震そのものの規模 |
| 震源の深さ | 浅いほど地表で強い揺れになりやすい傾向 |
| 震源位置 | 陸地・海底・人口密集地との位置関係 |
| 断層タイプ | 逆断層、横ずれ断層など。津波発生にも関係 |
| 津波情報 | 海底の大規模変位があったか |
| 最大震度・MMI | 実際にどの程度の揺れが生じたか |
| 余震 | 本震後の活動推移 |
例えばM7.0でも震源が非常に深ければ地表被害が比較的小さい場合があります。一方、M6台でも浅い直下型地震が都市の真下で起きれば甚大な被害になることがあります。
日本にとって特に注視する価値がある海外地震
海外地震の中でも、日本の防災という観点から優先して見る価値が高いのは、太平洋で大津波を発生させる可能性のある巨大地震です。
例えばチリ沖では1960年のチリ地震による津波が約1日かけて太平洋を横断し、日本でも大きな被害を出しました。アラスカ、アリューシャン列島、カムチャツカ半島、千島列島などの巨大地震も、日本への遠地津波という意味で重要です。
こうした地震では、自分で海外サイトを逐一監視しなくても、気象庁が日本への津波影響を評価します。大規模な海外地震が起きた際には、SNSの推測より気象庁の津波情報・遠地地震情報を優先することが重要です。
海外地震を観察するなら「点」ではなく「時系列」で見る
地震活動を理解したい場合、1回の地震だけを見るより、震源分布を時系列で見るほうが有益です。USGSのEarthquake Catalogでは地域や期間を指定できるため、例えばアリューシャン列島で過去1年間にどの程度の地震が起きていたかを確認できます。[参照]
大地震の後には多数の余震が発生することがあります。その余震を一つずつ「新たな異変」と見ると、地震が突然激増したように感じます。しかし本震後の余震活動として説明できる場合も多くあります。
逆に、これまで地震が少なかった場所で一定地域に地震が集中する「群発地震」が起きることもあります。重要なのは地震数の多さだけでなく、震源位置や深さ、時間変化を併せて見ることです。
SNSの「世界中で地震が頻発している」投稿には注意
SNSでは「今日だけで日本、インドネシア、アラスカ、南米で地震。これは異常では?」という形式の投稿が拡散されることがあります。しかし世界は非常に広く、プレート境界では毎日多くの地震が発生しています。
小規模地震まで世界地図上に大量に表示すれば、それだけで非常に活発に見えます。また「M5以上だけ」「M6以上だけ」「M7以上だけ」と条件を変えると印象も大きく変わります。
異常かどうかを判断するには、過去数十年の同じ基準のデータと比較する必要があります。USGSが指摘するように、観測網の改善によって現在は以前より多くの小規模地震を検出できるため、単純な件数比較にも注意が必要です。[参照]
一般の人が海外地震を見るなら3つの情報源で十分
海外地震を継続的に確認したい場合、多数のSNSアカウントを追跡する必要はありません。一次情報を中心に見るほうが情報の質を保ちやすくなります。
| 情報源 | 主な用途 |
|---|---|
| 気象庁 | 日本への津波影響、遠地地震情報 |
| USGS | 世界の地震の震源・規模・深さ・履歴 |
| 現地の公的機関 | 現地の震度、津波警報、被害・避難情報 |
特に「日本にも津波が来るのか」という目的なら、気象庁の情報が最優先です。地震学的に詳しく追いたいならUSGSのLatest EarthquakesとEarthquake Catalogが便利です。
海外地震を注視する本当の意味は「予言」ではなく防災理解
海外地震を観察すること自体には意味があります。巨大地震がどのようなプレート境界で発生し、どの程度の津波や地盤災害を起こすのかを見ることは、日本の防災を考えるうえでも参考になります。
一方、「海外で大きな地震が3回起きたから日本も危ない」「この震源が日本へ近づいている」といった方法で地震を予知することはできません。地震の発生場所をニュース記事の点と点で結んでも、それだけでは科学的な予測にはなりません。
海外地震の監視は「次に日本のどこで地震が起こるかを当てる作業」ではなく、世界の地震活動を客観的な観測データで把握し、必要な場合に津波などの影響へ備えるためのものと考えるのが適切です。
まとめ:海外地震は専門機関が常時監視、一般には「大きな変化」を押さえれば十分
海外の地震活動はUSGSをはじめ世界各国の観測機関によって継続的に監視されています。日本の気象庁も海外の大地震を監視し、マグニチュード7以上などの顕著な地震について、日本への津波影響を含む遠地地震情報を発表します。[参照]
一般の人が世界で発生する数十件規模の地震を毎日一件ずつ追跡する必要はありません。見るのであれば、M7以上の大地震、海底で発生した巨大地震、津波の有無、活発な余震活動、日本への影響といった重要なポイントへ絞るほうが実用的です。
また「最近海外地震が多い」という印象だけで、世界の大地震が異常に増加している、あるいは日本の巨大地震が直ちに迫っていると結論づけることはできません。USGSは、世界の地震活動には自然な年ごとの変動があり、地震数の一時的な増減自体は巨大地震の接近を示す指標ではないと説明しています。[参照]
海外地震は「逐一心配する」のではなく、「公的な観測データを継続的に見る」という姿勢が適切です。日本に直接関係する遠地津波などが発生した場合は気象庁が情報を出すため、日常の防災では世界の地震件数に一喜一憂するより、家具固定、避難経路、備蓄、津波避難場所など、自分の地域で確実にできる備えを整えておくことのほうが重要です。


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